クレジットカードの家族カードとは?
クレジットカードの家族カードを所有されている方も多いと思います。
家族カードとは…
■本人(本会員):本人名義の本会員カード
■配偶者や子(家族会員):配偶者・子名義の家族カード
■引き落とし口座:本人(本会員)名義の銀行口座
上記のように、本人、例えば夫が本会員としてクレジットカードを所有しており、その本人の申し込みによって、家族である妻や子が家族会員として家族カードを作ることができます。
家族カードの発行にあたっては、家族の審査が不要であったり、年会費が安かったり、さらに家族カードの利用にあたっては、本会員と同等レベルのサービスを受けることができたり、家族でポイントを貯めることができたり、とメリットはたくさんあります。
一方、家族が家族カードを使って買い物をした場合の利用金額の引き落としは、本会員である本人名義の口座から行われることになります。これくらいは誰でもご存じですよね。
つい先日、こんな話を聞きました。
家族カードの利用によって贈与税が発生!?
会社を経営する父親のクレジットカードの家族会員として、娘が家族カードを所有していました。
ただ、その利用金額が尋常ではありません。その引き落としは父親名義の口座から行われます。もちろん会社経営者ですから、かなりの預貯金を持っている父親でしたが、娘は毎月200万円もの金額を10年近くに渡って利用していたのです。
使い道は、高級ブランドの洋服やバック、そして宝飾品の数々…
そんなある日、その父娘のもとに税務署から連絡が入り、税務調査の結果、数千万円もの贈与税が課せられることになったのです。支払い義務があるのはもちろん娘。ただ、娘自身がそんな大金を払えるはずもありません。(一応、娘も仕事はしていましたが、月給は世間並。)父娘は途方に暮れることに…
上記のケースでは、毎月200万円×12ヶ月で年間2,400万円もの贈与が父親から娘に行われたとみなされたのです。
年間2,400万円もの贈与となると、贈与税の税率は45%(娘が20歳以上の場合)。
贈与税はなんと765万円/年になります。
※計算式:(贈与額2,400万円-基礎控除110万円)×税率45%-控除額265万円
ただし、贈与税の時効は6年ですので、6年間分としましょう。
単純計算(765万円×6年)で4,590万円。
さらに、これに無申告加算税、延滞税、(悪質な場合は重加算税も)などの追徴課税もあって、億に迫ろうかといった金額の税金が課せられることになったという訳です…(その後、税金の支払いがどうなったのかまでは分かりませんが…)
過敏になる必要はない。やり過ぎには注意!
上記のように、娘(あるいは妻)が家族カードの利用する、つまり利用金額の引き落としが父親(あるいは夫)の口座からなされる場合、金額や使途によっては贈与税の課税対象になる可能性があるということです。
しかし、過敏になる必要はありません。
110万円という贈与税の基礎控除がありますが、その範囲内の利用額であれば問題になることはないでしょうし、たとえ110万円を超えても、生活必需品の購入や生活費、医療費等の支払いなどであれば税務署も追及してくることはないと思われます。
要は、やり過ぎ注意!
年間2,400万円ものブランド品の購入…さすがにこれは世間一般の常識を逸脱していますよね。
何事も“やり過ぎ”は、後々痛い目に遭うことが多そうですね。
税理士
監査法人トーマツ(現有限責任監査法人トーマツ)にて東証1部上場の大手商社などの金融商品取引法監査に従事
税理士法人ゆびすいにて相続税、法人税、所得税など各種税務案件に従事
2017年アステルフォース税理士事務所を開設、資産税を中心に活動し現在に至る
株式会社アレース・ホールディングス取締役