第9回 代襲相続の場合の法定相続分と法定相続人の数

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佐久間 寛

2020-03-27

第9回 代襲相続の場合の法定相続分と法定相続人の数

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代襲相続とは?

ご存じの方も多いと思いますが、代襲相続とは、本来、相続人となるはずだった人が、被相続人より先に亡くなっている場合は、その相続人の子が代わりに遺産を相続することですよね。(相続人が亡くなった場合のほか、相続欠格や相続廃除の場合も代襲相続は発生します。)
今回は、代襲相続の場合の①法定相続分、②相続税の基礎控除、③死亡保険金(生命保険)の非課税枠はどのようになるのか整理してみましょう。
次のケースで考えてみましょう。
相続人が配偶者Aと子2人B・C(うちCはすでに他界)、すでに他界しているCの子(=孫)がD、Eの2人いたとします。

①代襲相続の場合の法定相続分

法定相続分は以下のとおりになります。
・配偶者Aが2分の1(本来の法定相続分)
・子Bが4分の1(本来の法定相続分)
・孫D、Eが8分の1(子Cの法定相続分をDとEで2分の1ずつ) 

②代襲相続の場合の相続税の基礎控除

相続税の基礎控除は、ご存じのとおり「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」ですね。
代襲相続の場合の基礎控除の計算にあたり、法定相続人の数にカウントするのは何人でしょうか?
答えは、配偶者A、子B、孫D、Eの4人になります。
よって、相続税の基礎控除は5400万円になります。
代襲相続でない場合(=子Cが存命)は4800万円です。 

③代襲相続の場合の死亡保険金(生命保険)の非課税枠

死亡保険金の非課税枠もご存じのとおり「500万円×法定相続人の数」ですね。
代襲相続の場合の非課税枠の計算にあたり、法定相続人の数にカウントするのは何人でしょうか?
答えは、②と同様に、配偶者A、子B、孫D、Eの4人になります。
よって、死亡保険金の非課税枠は2000万円になります。
代襲相続でない場合(=子Cが存命)は1500万円です。
このように代襲相続によって、②相続税の基礎控除と③死亡保険金の非課税枠は増えることになります。(表現はともかく、相続税の計算上、有利になると言えますね。)
 

相続放棄をした場合は?

冒頭でも申し上げましたが、相続人が死亡した場合のほか、相続欠格や相続廃除の場合も代襲相続が発生します。
それでは、相続人が相続放棄をした場合はどうなるでしょうか?
相続放棄をした相続人は、最初から相続人でなかったことになるため、その子も相続人にはなりえません。つまり、相続放棄をした場合は、代襲相続とはなりません。
上記のケースで考えてみると、子C(存命)が相続放棄をしても、孫D、Eは代襲相続できないということです。
そして、①法定相続分、②相続税の基礎控除、③死亡保険金の非課税枠はそれぞれ以下のとおりです。
①法定相続分
相続放棄した人の相続分は、最初からその相続人はいなかったものとして考えます。
よって、法定相続分は以下のとおりになります。
・配偶者Aが2分の1(本来の法定相続分)
・子Bが2分の1(子Cは相続人ではなかったものとして考える)
・子Cはゼロ(相続放棄)

・孫D、Eはゼロ(代襲相続できない)

②相続税の基礎控除

相続放棄はなかったものとして計算します。

よって、法定相続人の数にカウントするのは、配偶者A、子B、子Cの3人です。

3000万円+600万円×3人=4800万円になります。

③死亡保険金の非課税枠

②と同様に、相続放棄はなかったものとして計算します。

よって、500万円×3人=1500万円になります。

②、③を見て分かるとおり、相続放棄をすることによって、基礎控除や非課税枠が増えるということはありません。



 

死亡した相続人が養子の場合は?

死亡した相続人が養子の場合、代襲相続できるその子(=孫)には条件があります。
・養子縁組前に生まれた子
 養子縁組の前に生まれた子は、代襲相続することができません。
・養子縁組後に生まれた子
養子縁組の後に生まれた子は、代襲相続することができます。
上記のケースで考えてみましょう。
子Cが養子で、かつ代襲相続(子Cが被相続人より先に死亡)となった場合です。
孫Dが養子縁組前に生まれ、孫Eが養子縁組後に生まれたとします。
この場合、孫Eは代襲相続できますが、孫Dは代襲相続することはできないのです。

①法定相続分
法定相続人は以下のとおりになります。
・配偶者Aが2分の1(本来の法定相続分)
・子Bが4分の1(本来の法定相続分)
・孫Dがゼロ(代襲相続できない)
・孫Eが4分の1(子Cの法定相続分)
②相続税の基礎控除
法定相続人の数にカウントするのは、配偶者A、子B、孫Eの3人です。
よって、4800万円です。
③死亡保険金の非課税枠
②と同様に、3人なので、1500万円です。
なお、本ケースには関係ありませんが、以下おさらいまでに。
“法定相続人の中に”養子がいる場合、法定相続人の数に含める養子の数には上限がありましたよね。
実子がいるときは1人まで、実子がいないときは2人までです。


 

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司法書士

平成17年司法書士試験合格
平成18年簡裁訴訟代理認定考査合格
資格試験予備校、都内司法書士事務所勤務を経てライト・アドバイザーズ司法書士事務所開設

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