第32回 終活④ 終活を始める第一歩(きっかけ作り)

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江幡 吉昭

2019-11-08

第32回 終活④ 終活を始める第一歩(きっかけ作り)

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今回は、前回(第31回)のテーマ「終活の問題点」から派生した形になりますが、終活を始めるきっかけ作りを子ども世代が担ってあげられたら、という論点でお話しします。 

終活に対するイメージ

さて、早速ですが、皆さんは下記の言葉を聞いてどのようにお考えになるでしょうか?

「終活は(60歳以上の)親世代がやることだ。」

“その通りだ!”と思われましたか?
それとも“そんなことはないのでは?”と思われましたか?
実際、認知症や介護などのリスクは年齢に比例して上がっていきます。また、今までここでお話してきた内容は、自分の死や介護、認知症という状態になる前に行動した方がいい、という話題が多かったので、話の対象もその現実味が出てくるであろうご年齢の方向けでもありました。よって、上述の問いに「その通りだ!」という方の意見もごもっともかと思います。

しかしながら、先日、終活に関する調査のデータを見たのですが、不思議なことに、自ら「終活をしたい」と思っている意向が一番多かったのは今の子育て世代層だったんです。しかし、実際に終活を始める年齢層は定年後の世代、という構図がはっきりと見えていました。
今まさに子育てに奔走している世代の方が終活の必要性を頭では理解しているのですが、実際には行動していない・・・つまり、子育て世代においては、終活に興味はあるけど現実味はない、ということなんです。

たしかに現実味を帯びてからいよいよ終活が現実のものとなってくる、というのはある意味では仕方ないことなのかもしれません。しかし、前回お話した通り、終活の問題点として、いざ終活を始めようとしたときに、直視したくない自分の死というものに対しての不安が大きくのしかかったり、家族関係が変化してしまうことへの懸念が出てきたり、そもそも何から手を付けていいのか分からない、という二重、三重の悩みに苛まれてしまうこともあります。 

世代にとらわれない終活

そこで思いつくのが「子育て世代から拡げる終活」ということです。
現実味はないけど小さなことから取り掛かってみませんか?
そうやって習慣づけていけば、何をすべきか、やがてコツがつかめるようになってきます。
たとえば、前々回お話したデジタル遺品。今の若い世代だからこそ、パソコン・スマートフォン・デジタルカメラなどの中に、きっと多くの情報がデジタル化されていますよね。その世代こそ一番気にしなくてはいけない状態になっているとは思いませんか?ましてや、今の携帯電話等の普及率は90%を超えていますので、親世代もお持ちの方も多くなってきています。このデジタルデータを少し整理するという作業自体が、言い方を変えれば「終活」であると言っても過言ではないと思っています。
「あっ、そっか、これが終活なんだ。」と気付かされますよね。子育て世代でも出来る終活を始めてしまうのです。そして、これなら親世代にも気軽に伝えられると思いませんか?
ここで皆さんに質問です。下記の言葉、家族の方に気兼ねなく聞けますか?

「終活を始めてくれない?」

どうでしょうか?たしかに終活は早く始めたほうがいいですし、子どもから親に伝えたいことでもあります。しかし、この直接的な一言は諸刃の剣ですよね。きちんと意思疎通していなければ、受け取り方次第では大変な事態を呼び起こすことになります。終活を推進している私たちですら難しいことだということを理解しています。
この言葉はとてもハードルが高いので、少し言葉を変えてみましょう。

「パソコン(携帯電話・スマートフォン・デジタルカメラ)の中の写真、見せてよ。」
「携帯電話の連絡先、バックアップしてる?」

こんな軽いタッチで始まる終活もあってよいのではないでしょうか。

まずは若い世代が、普段やっていることが終活につながるということを認識すれば伝えやすいですし、親世代もきっと始めやすくなります。いつ認知症や介護状態になるか分からないし、何もしないままそうなったらもう手遅れ、というお互いの共通認識が物事に弾みをつけてくれるのではないでしょうか。
ちょっとしたきっかけ、ちょっとした気遣いが親に大切なことを気付かせてくれるかもしれません。子どもの背中を見て親が教えられる、気付くということが出来れば大きな親孝行にもなるんじゃないかな、と思います。

今回は少々メンタルなお話になってしまいましたが、「まずは子ども世代である自分がやってみる」ということが、親の終活の成功へのきっかけになると考えています。
自分の死や家族関係の変化が現実味を帯びてしまうと、なかなか自分ではスタートできません。そのことを逆説的に言えば、死や家族関係の変化に現実味がない(=若い世代)今だからこそ、自分自身や家族のための終活(きっかけ作り)がスタートできる、ということになるんだと思っています。
皆さんにも、世代を限定することなく終活の支援が出来るよう活躍して頂ければと願っています。

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