第39回「尊厳死宣言」ご存じですか?

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貞方 大輔

2022-02-22

第39回「尊厳死宣言」ご存じですか?

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終末期に延命治療を望まない意思表示

病気が不治かつ末期状態となったとき、延命治療を望まないという方もいらっしゃるでしょう。
もう治る見込みがない末期の状態で、苦しみが続くなら…家族に精神的、金銭的負担が生じるのなら…延命治療は望まない。
私も現時点ではそのように考える一人です。(決して、推奨しているわけではありませんので悪しからず。)

延命治療を望まない人は増えている

4年ほど前に、終末期に延命治療を望まない意向を公正証書で表明する「尊厳死宣言」が広がっていると、日本公証人連合会の初調査で発表されたことがニュースになりました。
相続対策としての公正証書遺言を作成する際に、同時に尊厳死宣言をするケースが多いとのこと。延命治療を望まないという意思を「公正証書」によって残すことができるのです。
公正証書は、全国の公証役場で作成、保管され、本人の意思を公的に証明するものです。尊厳死宣言は現時点では法制化されておらず、法的な拘束力はありませんが、公正証書の謄本(本人控え)を医療機関などに提示すれば、その意思を尊重してもらいやすくなります。
尊厳死宣言を希望する人が増えた理由の一つに、死生観の変化が挙げられると考えています。“自分らしい人生の最期を”と考える方が増えているのです。実際、遺言作成に関するご相談、ご依頼が急激に増えています。
死後や老後に備える『終活』に関心が高まる中、遺言とセットで人生最期の迎え方を検討し、公正証書で尊厳死宣言する人が増えているのです。
尚、一般的な内容(文面)であれば、尊厳死宣言の公正証書作成手数料は1万数千円程度です。

日本尊厳死協会とリビング・ウィル

尊厳死を巡っては、公益財団法人「日本尊厳死協会」が延命治療を望まないことを表明する「リビング・ウィル」(終末期医療における事前指示書)の普及活動を実施しています。
「リビング・ウィル」は、病気が不治かつ末期の際には延命治療は行わず、人間としての尊厳を保ちながら死を迎えたい旨を伝えるものです。
尊厳死に関しての法律は定められていませんが、尊厳死宣言書を作成しておくと、その意思は尊重されます。日本尊厳死協会の調査によると、9割以上の医療関係者が尊厳死宣言書を読み、本人の意思を尊重しているとも発表しています。
尊厳死宣言書は特に決まりはありませんが、上記のとおり「リビング・ウィル(事前指示書)を作成しておく方法」と「尊厳死宣言公正証書を作成する方法」があります。

尊厳死宣言書(公正証書)に記載する事項

①尊厳死を望む旨の意思表示
延命治療を望まず、人間としての尊厳を保ちながら(自分らしく)死を迎えたいという意思を明示します。苦痛を和らげる最小限の治療以外の措置は行わないでほしい旨を記載します。

②尊厳死を望む理由
尊厳死を望む理由を記載します。理由は人それぞれです。理由を記載しておくことで医療機関への説得力や家族の納得感が増すことになります。

③家族の同意
尊厳死を望む宣言をしていても、家族が反対したら、医療機関はその家族の気持ちを無視するわけにはいきません。家族が延命治療を希望すれば、医療関係者は家族の意向を尊重します。そのためにも、家族の同意(署名捺印)をもらっておくといいでしょう。

④医療関係者に対する免責事項
延命措置を行わなかったことにより医療機関が法的責任を問われないように免責事項を明記して必要があると考えられます。刑事、民事両方の責任にも問われないように配慮しておくことが大切です。

⑤その他
心身ともに健全なときに、尊厳死宣言を行ったことも明示しておきましょう。

尊厳死宣言書(公正証書)の例文

私●●●●は、将来病気に罹り、それが不治であり、かつ死期が迫っている場合に備えて、家族や医療関係者の方々に以下の要望を宣言します。

私の病気が不治の状態であることを2名以上の医師により診断された場合は、死期を延ばすためだけの延命治療は行わないでください。

尚、この証書の作成にあたっては、あらかじめ私の家族である次の者の了解を得ています。
妻  ●●●● 生年月日:昭和■■年■月■日  ㊞
長男 ●●●● 生年月日:昭和■■年■月■日  ㊞
長女 ●●●● 生年月日:昭和■■年■月■日  ㊞

私の要望を果たしてくださる方々に感謝を申し上げます。
その方々が、私の要望に従ってなされた行為のすべての責任は、私自身にあります。
警察や検察の方におかれましては、私の家族や医療関係者が、私の意思に沿った行動を執ったことに対して、犯罪捜査や訴追の対象をすることがないようお願い申し上げます。

最後に、この宣言は、私が心身ともに健全な状態にあるときにおこなったものです。
したがって、私の心身が健全な状態にあるときに、私が撤回しない限り、その効力は持続されるものです。

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貞方 大輔

立命館大学卒業後、大手生保を経て、アレース・ファミリーオフィスへ入社。
一般社団法人相続終活専門協会 代表理事

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