昨年7月から開始された法務局における自筆証書遺言の保管制度。早速、自分の遺言を保管してもらおうと、この制度を利用してみました。
自筆証書遺言とは
そもそも自筆証書遺言とは何でしょうか?それは自分で書いた遺言です。
大きく分けて公証役場の公証人に作成してもらうのが公正証書遺言、一方、自分で全部書いた遺言は自筆証書遺言です。この自筆証書遺言のデメリットは紛失、改ざん、不発見がリスクでした。このデメリットを無くしてくれるのが、この自筆証書遺言の法務局での保管制度です。では早速、見てみましょう。
法務局における自筆証書遺言保管制度
自筆証書遺言は既に書き上げたとします。
まず、インターネットで法務局の予約を取ります。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html
このサイトで直接法務局の時間を指定して予約できるので便利です。
私は1月4日の9時に東京法務局(九段下)で予約しました。
この保管制度は本籍地、住所地の法務局になるのでどこの法務局でもOKなわけではありませんのでご注意ください。私は東京在住なので東京法務局になったというわけです。
そして、予約が取れたら遺言以外に、申請書と住民票(本籍地記載のもの)を用意します。申請書は上記法務局のホームページにPDFがありますので、家庭用プリンター等で印刷して記入する必要があります。そして上記ホームページにも詳細がありますが、注意したいのが遺言の形式です。法務局で保管してもらう遺言に関しては規定が1つあります。それは余白です。A4用紙に記載しなければいけないのですが、必ず「縦1センチ、横2センチの余白は必要」なのです。よって、A4に書いたのはいいが、余白なく、びっしり書いてしまうと受け付けてもらえませんのでご注意ください。せっかく書いた遺言を書きなおすのは相当面倒だと思いますので、縦1センチ、横2センチの余白は必ず守るようにしましょう。
自筆証書遺言の保管当日
私は東京法務局(九段下)の第2合同庁舎に行きました。遺言保管制度は8階に窓口があります。エレベーターに乗って8階、一番奥の右手が遺言保管の部署です。
名前を名乗って予約したことを告げます。そして、係員に「申請書、住民票、本人確認書類(運転免許証等)、押印した遺言」を見せます。そこで形式のチェック等で約20分強、待ちました。すると法務局の職員から『問題ないので収入印紙を買ってきてください』と言われます。そして収入印紙を買いに一度4階に行き、3900円の収入印紙を買いました。
8階に戻り、収入印紙3,900円を貼った用紙を渡して、保管証という用紙を係員から受領して終了となります。合計45分くらいでした。
注意したいこと
個人的に気づいたことをいくつかあげたいと思います。
まず、遺言原本はそのまま保管されてしまいますので、コピー等を取っておく必要があります。自分でどんな内容を書いたか忘れてしまうと思うので。また、短時間で終わらせたい場合は、収入印紙3900円を事前に4階で買っておくことをお勧めします。
ちなみに遺言を保管してもらうときに、申請書に記載しさえすれば、自分が死んだら妻などに遺言があることを通知してくれるサービスも4月から始まります。不発見のリスクも無くなるというわけです。とても便利な制度ではないでしょうか。
しかし、問題も1つあります。車いすに乗って意思能力が微妙な親に遺言さえ作らせてしまえば、子供が親を連れて行ってこの制度を利用できてしまう恐れもあります。法務局の係員は公正証書遺言と違って『公証人でもなければ、遺言作成の証人』でもありません。その点では客観性はやはり公正証書遺言に比べて劣ると思います。何か、もめごとが起きた時を想定するのであればやはり公正証書遺言が一番客観性が高いといえるでしょう。ちなみに、再度、遺言を作り直したい場合はまた3900円かかります。