第66回 相続争いの大半は預金の使い込み

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江幡 吉昭

2021-01-19

第66回 相続争いの大半は預金の使い込み

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今週来週と現代ビジネスや幻冬舎ゴールドオンラインなど、他紙へ寄稿する私の記事で、それなりにネットの読者に読まれている話題について触れたいと思います。その話題とは『相続でもめるときの典型的なケース』についての話題です。

1.相続でモメる典型例

以下の事例で見てみましょう。
・父が死亡しており、母存命
・子供が2人以上、1人は親のそば(Aとしましょう)、もう一人は母とは遠いところに在住(Bとしましょう)

母が死亡したときに、母の預金口座がほぼなかった。母のそばに住んでいた子Aが使い込んでいた。子Bはその時初めて知る。このようなケースが相続争いで多くを占めるケースなのです。

母の死後、大体遅くても四十九日あたりに、母の遺産分割協議が始まります。そうすると意外にも『母の預金がない』ということが子Aの口から判明します。当然ですが、子Bは初耳。ここからがもめごとのスタートとなりかねない分岐点1となります。

2.相続でモメる分岐点1

多くの場合、子Bは母の相続人として銀行預金口座の取引明細を銀行から取得します。銀行は10年程度の預金の取引明細を発行してくれます。大体数万円の費用と数週間という時間はかかるものの比較的容易に取得可能です。そうすると病気で動けないはずの母の預金から毎日50万円(1日の手金限度額)が引き出されているのです。合計金額は人によりけりですが、数百万から億円単位に至るまで様々です。母の代わりに誰がお金を下ろしたのか?子Bは疑心暗鬼になります。

3.相続でモメる分岐点2

ここでその証拠をそろえて子Aに子 Bが真実を尋ねます。ここで分岐点2です。

子Bの選択肢は大体2つ。
・1つ目は不信感が極まって『子Aと一言も話したくない』というケース。こういうケースは子Bは弁護士に行きます。
・2つ目は子Bが子Aに直接真実を問うケース。

全部が全部とは言いませんが、後者のほうが一般的にはこの問題の解決が早いです。『子Aがあっさり、自分の使い込みを認める場合』はきちんと精算して終わります。ところが、『子Aが認めなかったり、協議の席につかない場合』、これは分岐点2の1つめと同様、弁護士マターとなるケースが多いです。そういう場合は、往々にして遺産分割協議不調となり→調停→審判ということになりがちです。

4.相続争いは誰がトクをする?

子供たち同士で遺産分割協議が成り立たない場合、弁護士がどちらかに入ってきた場合は、普通、弁護士同士の協議が不調におわれば、第二段階の調停となります。遺産分割調停は東京では霞ヶ関のビルで調停員2名を交えて、1~2か月に1度くらいで双方が数回(半年~1年前後)話し合うことになります。その調停員を交えても合意できない場合、最終段階の審判(いわゆる裁判というやつです)となってしまいます。この審判になると、数年から10年近くケースもあるのです。

このように調停にせよ、審判にせよ、第三者の手にゆだねられた場合、母の預金を子Aが着服したかの真実を明らかにする場所というよりは、我々の共通の物差しである『金銭』というものを使用して、双方が合意(妥協)する色合いが強いものです。よって、すべてが終わ
って『晴れ晴れ』というよりは、時間とお金がかかって双方『疲れ果てる』ということが多く誰がトクをしたというのが明確にあるものは多くありません。弁護士報酬も決して安くはありません。遺産相続の分岐点2のところでどのような選択肢を子供たちが取るか?また結果として子供たち同士で協議ができるか?ここがポイントとなると思います。

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江幡 吉昭

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