第13回 相続税が戻ってきました!(更正の請求具体的事例①)

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油良 俊寛

2019-05-10

第13回 相続税が戻ってきました!(更正の請求具体的事例①)

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今回は「更正の請求」についてお話いたします。
「更正の請求」とは、「税金の還付請求すること」です。
第4回「税制改正、広大地評価の見直し」でもご紹介しましたが、払いすぎた相続税は5年以内なら取り戻せます。
地主など、土地を保有している割合が多い方は、土地の評価を専門の税理士が見直すことで、払いすぎていた相続税が還付される可能性があります。
相続税の申告を、相続が専門でない税理士に任せたり、自己申告した場合、相続税を払いすぎてしまっているケースがあるのです。
土地の評価は、不動産の専門知識が要求されるほど難しく、不動産に詳しくない税理士の場合、過大に評価されていることが多く見受けられます。
一度納めてしまった相続税でも、定められた期限内に税務署に更正の請求をし、その更正が認められた場合は、相続税が還付されます。

過大に評価されている可能性が高い土地には、主に以下のようなものがあります。

◆広大地
(第4回にも掲載のとおり、広大地評価は廃止され、地積規模の大きな宅地の評価が新設されました。※2018年1月1日以降の相続等により取得する財産に適用。)
 広大地とは、戸建住宅が何軒も建つような広い土地のことです。
 広大地評価の適用を受けると、土地の評価額が大きく減額されます。
 広大地として認められるためには、以下のような条件があります。
 ・その地域の標準的な土地に比べ、著しく広い土地。
(目安として、三大都市圏で500㎡以上、その他で1000㎡以上)
 ・マンションを建てるのに適していない土地。
 ・戸建住宅を分譲する際、新たに道路を作る(敷地を無償提供する)必要がある土地。

◆不整形地(形がいびつな土地)
 土地の評価は、その土地の使い勝手の良さで変わってきます。
 道路に対してななめだったり、一部分だけ出っ張っているようないびつな形の土地は、正方形の土地に比  べて使いづらいですよね。
 形がいびつで使いづらい土地を不整形地といい、土地の評価額を下げることができます。

◆その他、幅の狭い道路に面している土地や墓地に接している土地、高圧線が通っている土地など

さて、それでは最近あった相続税還付の実例をご紹介いたします。
・都内西部に約1000㎡の土地をお持ちのAさん。※Aさんは、この土地に自分名義のマンションも建てていました。
・被相続人は父、相続人は妻、長男、長女、次女の4人でした。
・Aさんが4年前に亡くなり、長男が土地とマンションを相続。長男は、当時の税理士の言うとおりに相続税を申告しました。
・今回の更正の請求のポイントは2点でした。
① 線路沿いの宅地があり、利用価値が著しく低下している宅地として10%の評価減ができるのではないか?

② 1,000㎡の土地があり当初申告の際、この土地は、広大地評価の適用がなされていなかった。(おそらく、すでにマンションが建っていたため、広大地の要件の一つである“マンションに建てるのに適していない土地”に該当しないと税理士が判断したのではないでしょうか。)

・私が見直して、更正の請求をしたところ、税務署から上記ポイント①②から以下の通り回答がありました。
① については、線路沿いということを織り込んである路線価にしてあるため否認。また、線路沿いというよりは高架になっているため、それほど利用価値が著しく低下しているとは言えない。

② については、“マンションを建てるのに適していない土地”であると税務署の認定を受けることができた。修正前の土地の評価額が1.6億で、修正後は8,000万円まで減額が認められました。


この結果、約1,500万円(当初の相続税:約3,600万円-更生後の相続税:2,100万円)もの還付を受けることができました。
もし、過去5年以内に土地を相続し、相続税を納めた方で、上記のようなケースに該当する可能性がある方は、一度、弊社などの専門家に相談してみるのもよいかもしれません。   

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税理士

監査法人トーマツ(現有限責任監査法人トーマツ)にて東証1部上場の大手商社などの金融商品取引法監査に従事
税理士法人ゆびすいにて相続税、法人税、所得税など各種税務案件に従事
2017年アステルフォース税理士事務所を開設、資産税を中心に活動し現在に至る
株式会社アレース・ホールディングス取締役

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