第9回 再転相続(その1)

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山下 昌彦

2024-06-28

第9回 再転相続(その1)

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再転相続とは

再転相続とは、最初の相続における相続人(第一相続人)が、その熟慮期間中に相続放棄又は承認(単純/限定)をすることなく死亡し、次の相続人(第二相続人)が第一相続人を相続した場合をいいます。

具体例

第9回 再転相続(その1)の画像

その他の複数相続との相違点

再転相続と類似する相続状況として、代襲相続と数次相続があります。それぞれの相違点を見てみましょう。

第9回 再転相続(その1)の画像

再転相続における相続放棄

(1) 再転相続の場合、第一相続人である父は、その熟慮期間中に相続放棄又は承認(単純/限定)をすることなく死亡したため、第二相続人である子は、①一次相続である祖父から父への相続を承認するか又は放棄するかの選択権と、②二次相続である父から子への相続を承認するか又は放棄するかの選択権を有することになります。
しかし、第二相続人が常に相続を承認するか又は放棄するかを選択することができるわけではありません。

(2) 第二相続人による承認・放棄の可否
第二相続人が一次相続及び二次相続について承認・放棄できるかどうかについての判例の考え方は下記のとおりです。

第9回 再転相続(その1)の画像

第二相続人が一次相続について承認・放棄の選択権を行使できるのは、第一相続人が一次相続についてその熟慮期間中に行使しなかった選択権を相続しているからです。
この点に鑑みれば、第二相続人が二次相続を承認しているパターンA及びパターンBの場合、一次相続について承認・放棄のいずれも選択できることになります。
他方で、第二相続人が二次相続を放棄しているパターンC及びパターンD場合、民法939条により相続放棄をした第二相続人は、二次相続については初めから第一相続人の相続人とならなかったと見做されます。そのため、第二相続人は一次相続について第一相続人が有していた承認・放棄の選択権を相続せず、結果第一相続について承認・放棄の選択ができないことになります。
もっともパターンCの場合、判例は、第二相続人が二次相続について放棄していなければ、一次相続について放棄することができ、その後に二次相続について放棄をしても、すでに再転相続人としての地位に基づいて一次相続についてした相続放棄の効力が遡って無効になることはないとし、一次相続について先に放棄した場合については、その後の二次相続について放棄することを認めています。


以 上

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弁護士

京都大学法学部卒業
甲南大学法科大学院修了

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