第62回 親の財産を巡る、仲の悪い子ども(きょうだい)たち“あるある”

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貞方 大輔

2024-05-09

第62回 親の財産を巡る、仲の悪い子ども(きょうだい)たち“あるある”

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存命の親の財産を巡って、仲の悪い子どもたちの攻防を目の当たりにすることがあります。
例えば、次のような事例が多いです。(すべてのご家庭が当てはまるわけではありませんので悪しからず。)

①親の懐に入り込み、お金を使い込んだり、あらぬ情報を吹き込む

相続においては、親の近くにいる子どもが優位になることが多いです。
親のことが心から心配で財産のことなど関係なく面倒を見る子どももいれば、親の具合が悪くなってきた途端、手のひらを返したかのように近づいてくる子どももいたり、さまざまです。
親としては、子どもは平等とはいえ、やはり自分のことを心配してくれたり、献身的に面倒をみてくれる子どもが一番だと思う(思わされる?)ことも分かります。
一方で、子どもの立場として、親が亡くなったら遺産をなるべく多くもらいたいと考えることも否定はしません。ただ、そのために戦略的になる人も少なからずいるのもまた事実です。
親からお金の管理を任されていることをいいことに、親の口座から必要以上の金額を引き出していたり、使途が不明だったり、中には使い込んだりしていることも…
親が認知症とかであれば、親に気づかれることもなかったり。
さらには、親にあらぬ情報を吹き込むこともしばしば。
「●●(←他のきょうだいの名前)はお母さんのことをよく思ってないのよ。だって全然実家に寄り付かないじゃない。悪い人間なんだよ、あの人は。」
そんな言葉にお母さんも「そうよね~」と信じ込んでしまうわけです。
なにも親元を離れたくて離れてるわけではない(例えば嫁いだり、転勤だったり)のに、近くにいる子どもが親の懐に入り込んで、関係性やお金を良いようにコントロールしていたりするのです。
近くにいれずとも、定期的に連絡を取ったり、できる限り親元に帰って顔を合わせたいものです。

②きょうだいが自分の子ども(親にとって孫)を養子にする

養子縁組は結婚と一緒で役所への届け出ひとつでできてしまいます。
親の戸籍謄本を確認したところ、仲の悪いきょうだいの子どもがいつの間にか親の養子(孫養子)になっていた…ということもたまに目にします。
認知機能が衰えている親が、本当に養子縁組のことを理解して養子縁組の書面にサインをしたのかは分かりませんが、中には無理やり手続きをしたのではないかと疑ってしまうこともあります。
親が亡くなってしまった後だと、もう本人に事実を確認することすらできませんし、養子縁組の無効を主張(例えば重度の認知症だったなど)して覆すのも相当に難しいものがあるでしょう。
この点については、逐一チェックできるわけでもなく、自分の知らないところで他のきょうだいが子どもを親の養子にしていたとなれば、なかなか防ぎようがない面もありますが、認知機能が衰えてきたご両親がいる方は要注意です。(よく理解できていない親をそそのかして、養子縁組をさせられる。なお、行為能力がなければ養子縁組はできません。)

③遺言を作成させる(遺言の応酬になることも多い)

子どもたちの仲が悪い場合、親の相続において遺産分割協議では話がまとまらない(あるいは生前からまとまらないことが分かっている)ことがよくあります。よって、遺言を作成することは非常に重要なことなのですが、それぞれが自分に優位になる(遺産を多くもらえる)ような遺言を親に作成させようとするのです。
子どもたちが主導する、まさに“遺言の応酬”です。
ちなみに遺言は、公正証書遺言だろうが自筆証書遺言だろうが、(不備がなければ)日付が新しい遺言が効力を有します。
上記②と同様に、認知機能が衰えてきたご両親がいる方は要注意です。
(よく理解できていない親をそそのかして、遺言を作らせる。なお、遺言能力がなければ遺言を作成することはできません。)

子ども(きょうだい)たちが仲良くするのが一番ですが、相続の場面ではどんなに仲の良い子どもたちでも大なり小なりケンカや言い合いは付きもの。
すでに絶縁状態で修復不能なきょうだいもいるでしょう。
親の相続発生後、想像もしていなかった事態が発覚することも多いので、親とのコミュニケーションや“まさか”に備えた対策や専門家へのご相談をオススメします。

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貞方 大輔

立命館大学卒業後、大手生保を経て、アレース・ファミリーオフィスへ入社。
一般社団法人相続終活専門協会 代表理事

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