第2回 小規模宅地等の特例における貸付事業用宅地等に関する改正

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油良 俊寛

2018-05-21

第2回 小規模宅地等の特例における貸付事業用宅地等に関する改正

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平成30年度税制改正関連法の中に、小規模宅地等の特例における「貸付事業用宅地等」の改正があり、適用範囲が狭くなります。
貸付用の不動産をお持ちの方はこの改正に該当する方がいらっしゃると思いますのでご確認下さい。

そもそも「貸付事業用宅地等」の小規模宅地等の特例とは、被相続人等が不動産貸付の用に供していた宅地等で相続税申告期限において不動産の貸付けを継続しているものについては200㎡までの部分は相続税の計算にあたって、その宅地等の評価額が50%減額となるものです。
つまり亡くなった方が賃貸アパート等を貸付けされており、その敷地も亡くなった方の持ち物の場合は、その敷地部分の200㎡までについて50%の評価減になるという制度です。
これを適用することができれば、例えば300㎡で6千万円の相続税評価額がある土地の場合、最大2千万円土地の評価を減額できる制度です。
今回はこの制度の改正が行われました。

具体的には下記の通りです。
『貸付事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等(相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている者が当該貸付事業の用に供しているものを除く。)を除外する。』
上記の改正は平成30年4月1日以後の相続等に適用されます。
また平成30年3月31日までに賃貸不動産等を購入し貸付事業の用に供した場合は、貸付事業用宅地として、3年以内に相続が発生しても小規模宅地等の特例が適用できることとなります。
この改正は、売買しやすい貸付用不動産を相続開始直前に取得し、一時的に現金を不動産に換えて相続税負担を軽減しているケースが散見されたため適用要件を厳しくしたものと推測されます。

では改正内容を詳細に見ていきましょう。
①相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等を除外する
→つまり、お亡くなりになった方が、3年以内に賃貸用の不動産を購入し貸付事業の用に供した、その不動産は対象となるかというと、ならなくなったということです。
では、お亡くなりになった方が3年を超えて賃貸用の不動産をお持ちの場合はどうなるのでしょうか。こちらの不動産に関しては貸付事業用宅地等の小規模宅地等の特例が適用できます。
②相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている者が当該貸付事業の用に供しているものを除く
→3年超事業的規模で貸付事業を行っている方が新しく貸付を始めた宅地については従来通り特例が適用できます。
今回の改正は駆け込みで小規模宅地等の特例を適用しようとするのを防止する為であって、3年を超えて貸付事業を行っている方の事業を阻害することはしないので、ご安心ください。

今回の改正で小規模宅地等の特例を適用できると思って取得した貸付事業用の不動産にかかる土地が対象から外れてしまうことがあるかもしれません。
この機会にご自身の財産を今一度見直しましょう。 

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税理士

監査法人トーマツ(現有限責任監査法人トーマツ)にて東証1部上場の大手商社などの金融商品取引法監査に従事
税理士法人ゆびすいにて相続税、法人税、所得税など各種税務案件に従事
2017年アステルフォース税理士事務所を開設、資産税を中心に活動し現在に至る
株式会社アレース・ホールディングス取締役

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