第18回 遺産分割協議は多くの方が通る道

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貞方 大輔

2021-03-16

第18回 遺産分割協議は多くの方が通る道

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遺産が少なくても、相続の手続きは大変です

「うちの親(あるいは夫)は大した財産もないし、相続人の仲も良い。相続の手続きでそんなに苦労することはないでしょ?」

大変と感じるかどうかは人それぞれですが、「楽でした!」という方にこれまでお会いしたことはありません。
遺産が多ければもちろんその分大変ですが、少なかったとしても最低限必要な手続きがあり、その手続きは思っている以上に大変で面倒なものです。
被相続人(亡くなった方)がきちんと“遺言を作っていた”、“相続人が一人だけ”、“法定相続分どおりに分割する”ケースではトラブルなくスムーズに進むことが多いですが、“遺言書がない”、“相続人が複数いる”、“法定相続分と異なる割合で分割する”場合は、想像以上に苦労します。大切な方を亡くした悲しみの中、心身ともに疲れ切ってしまう方、必要書類を集める途中でギブアップする方など、簡単にいかないことも多いのです。

どんな苦労が待っているの?

例えば、親の遺産が預貯金と築古の自宅(家屋・土地)だけだったとします。
遺産の額は、預貯金500万円と、自宅は土地・家屋合わせて1,000万円。合計1,500万円です。相続人は子である自分と妹の2人(仲良し)。遺言はありません。
遺産額は基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人数)の範囲内なので相続税の申告・納税の必要はありません。
遺産額は少ないし、内訳も預貯金と自宅だけ。相続人同士の関係も良好。相続の手続きは簡単に済むだろうと思われる方もいらっしゃるでしょうが、意外と骨が折れるものです。
金額が少ないといっても、立派な遺産であることには変わりありません。
具体的には以下の作業や手続きが必要になります。

①遺産分割協議と遺産分割協議書の作成

遺産分割協議書とは、被相続人(亡くなった方)の遺産を「誰が、どのように、どれくらい」相続するのかを相続人全員で協議、同意したうえで、その証として作成する書類です。
先ほども申し上げましたが、遺言がある場合、相続人が1人しかいない場合、法定相続分どおりに相続する場合は、遺産分割協議の作成は基本的には必要ありません。ただ、遺言を作成している方はまだまだ少ない(10%程度)現状ですし、法定相続分どおりに分割するケールもほとんど見かけませんし、不動産があると現実的に困難なことがほとんどです。まずは、遺産をどのように相続するのかを話し合う必要があります。スムーズに進むといいですが…。では、幸いにも遺産分割協議が問題なく片付いたとしましょう。その証として遺産分割協議書を作成しなければなりませんが、作り方はご存じですか?
そう言われて困ってしまう方も多いのではないでしょうか。それもそのはず、経験したことがある方のほうが圧倒的に少ないのですから。(今回は作り方の説明は割愛します。)

ちなみに、この遺産分割協議の前に、遺産の内容・金額を洗い出し、把握する必要がありますが、「親や夫の口座がどこの銀行にあるのかなんて分からないわ…」という方も多いのです。何から手を付けていいのか出だしから困ってしまいますよね。遺産分割協議をするにあたっては、当然どこの銀行にいくら預貯金があるのかを把握する必要があります。もし通帳が見当たらなければ、残高証明書を取得することになりますが、実際、この残高証明書一つ取るにしてもコロナ禍でとても面倒なものになっています。

②遺産分割協議書は相続登記の際には絶対必要

相続登記とは、被相続人の所有していた不動産の名義を、相続した人の名義に変更する手続きのことをいいます。相続登記は自分で法務局に行ってすることもできなくはないですが、司法書士に依頼されることをオススメしますし、実際ほとんどの方が依頼されます。どちらにせよ、相続登記には、遺言か遺産分割協議書どちらかの提出が必要になります。遺言を作成されていない方がほとんどですので、遺産分割協議書が必要になります。不動産価値の大小関わらず、絶対に必要です。なお、この相続登記は2023年からを目途に義務化される予定です。
なお、相続登記だけでなく、預貯金口座の相続手続き(解約・払い戻し)にも基本的には遺産分割協議書が必要になるとお考えください。

遺産分割協議書は、長い人生の中で1回(多い方でも2回程度)作るかどうかの書面です。インターネットで検索すれば、たくさんひな型も出てきますが、分からないことや不安なことも多いでしょうから、専門家に相談されることをオススメします。

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貞方 大輔

立命館大学卒業後、大手生保を経て、アレース・ファミリーオフィスへ入社。
一般社団法人相続終活専門協会 代表理事

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