繰越済みの通帳どうしてる?
繰越済みになった通帳はどうされてますか?
大切に保管してますか?それともすぐに処分してますか?
私は、ずっと保管しています。おそらく15年分くらいは残ってると思います。正確には、保管しているというより、家にシュレッダーもないし、かといってバラバラに切り刻んで捨てるのも面倒だし、ただ引き出しに放り投げてるだけですが。もちろん後になって見返すなんてこともこれまで一度もありません…。
相続が発生したら、過去の通帳が必要になることも
さて、相続が発生し、相続税の申告を行うにあたっては、必要書類がたくさんあります。ざっと20種類近くになることもざらです。被相続人、相続人それぞれの戸籍書類、住民票、印鑑証明をはじめ、被相続人が所有していた不動産の登記簿、銀行の残高証明などなど。
これが実に面倒で、最初でかつ最大の壁とも言えます。途中でギブアップされる方もいますし、今はコロナで役所や金融機関に行くのも避けたいでしょうし、郵送でとなると手間と時間がかかります。ちなみに、お金さえ出せばすべて代理でやってもらえます。“遺産整理業務”と呼ばれるものです。
これらの必要書類は、相続税の申告を依頼する税理士に提出することになりますが、その中には、通帳(コピー可)も含まれます。
過去の大きなお金の流れ(贈与の有無等)を税理士が把握し、適切な申告・納税をするためです。後々、税務調査が入ることになった場合にも大きな意味を持ちます。
その通帳ですが、相続開始から遡って約5年間分を提出していただくことが多い(一般的)と思います。我々も多くの相続税申告に携わっていますが、5年分の通帳をご提出いただいています。
5年分も通帳がない場合は?
もちろんすべての方が5年間分もの通帳を保管しているとは限りません。
繰越済みの通帳をすぐに処分していれば、もちろん出てくる通帳は、直近で使っていた1冊だけ。そんなときはどうするかと言うと、各金融機関から過去5年分の「入出金明細」なるものを取り寄せることになります。それで過去5年分の入出金の取引履歴が分かるのです。
意外とかかる取得費用。塵も積もれば…
一方、金融機関も無料で発行してくれるわけではありません。有料です。
例えば、多くの方がお持ちであろう“ゆうちょ銀行”だと「1冊の通帳に係る回答につき520円」とホームページに掲載されています。他の金融機関を見ても、「1年あたり●●●円」とか「1通(1口座)あたり●●●円」など金融機関によって異なります。
皆さんが最もよく利用してる銀行はどの銀行ですか?
そして、その銀行の5年分の通帳は何冊くらいになりますか?(どれくらいの期間で1冊の通帳がいっぱいになりますか?)
私は、某メガバンクを一番使っていますが、最近の通帳を見てみると、約半年でいっぱいになって繰越になっていました。ということは5年分だと10冊になります。これが多いのか、少ないのかはさておき、ゆうちょ銀行の料金体系「1冊の通帳あたり520円」に照らし合わせてみると、5,200円になります。
他にも頻度は劣りますが2、3の銀行を使っていますので、ざっと試算してみると1万数千円になりました。
例えば、私が亡くなった場合、妻が相続税の申告・納税を行う(税理士に依頼する)ことになるでしょう。
妻は、そのために役所や法務局、そして各金融機関から必要書類をかき集めます。それらの書類を、申告を依頼する税理士に提出するわけですが、私の通帳は引き出しの中におそらく15年分ありますので、妻は何の手間もなく、それを税理士に提出するだけです。
一方で、もし私が繰越した通帳を即処分していたならば、妻は各金融機関に行って「入出金明細」を取得しなければなりません(郵送でも可)。
そして、1万円以上もの料金を支払わなければなりません。入出金明細以外にも残高証明書というものも取得する必要があるので、実際にはもっと費用がかかります。
我々も相続人の方から委任されて、金融機関から入出金明細や残高証明書を取り寄せますが、多い方だと全部で5万円かかったりすることもよくあります。まさに塵も積もれば…ですよね。
通帳の保管も終活のひとつ
以上のとおり、遺されたご家族(相続人)に手間と金銭的負担をできるだけかけないためにも、5年分くらいの通帳はぜひ保管しておくようにしてください。相続(死)はいつ訪れるか分からないのですから。
さらに、まったく使っていない、あるいは必要性の低い銀行口座は解約して減らしておくことも一つです。相続発生後、ほとんど使っていなかった残高がたった数円しかない口座の入出金明細を、費用をかけて取得してもらうなんてもったいないですよね。
ある意味、これも終活のひとつと言えます。