第64回 生前贈与は今年のうちに

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江幡 吉昭

2020-12-18

第64回 生前贈与は今年のうちに

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今週12/15(火)更新のお役立ち情報にて、税理士・油良からお伝えしましたとおり、生前贈与に関してあと数年でルールが変わる可能性が出ています。
(ご参考)第21回「令和三年度税制改正大綱を受けて」(2020.12.15)

結論!令和2年度の生前贈与はいつもより多めに贈与しましょう

いきなり結論ですが、来年以降、相続・贈与のルールが変わる恐れがあるので、今年はいつもより多めに贈与することをお勧めします。相続税の最高税率は55%、贈与税の最高税率も55%。しかし少額の贈与は実質的な税率が低いのです。

いくらくらい贈与すればいいのか?

さて、いくらの贈与だと、贈与税はどの程度か見てみましょう。110万円までの非課税はもちろんなので、それよりも多い金額の贈与を取り上げます。

■310万円の贈与
贈与税:(310万円-110万円)×10%=20万円
実効税率:20万円÷310万円=約6.4%

■510万円の贈与
贈与税:(510万円-110万円)×15%-10万円=50万円
実効税率:50万円÷510万円=約9.8%

■710万円の贈与
贈与税:(710万円-110万円)×20%-30万円=90万円
実効税率:90万円÷710万円=約12.6%

という具合です。推定される相続税の実効税率よりも低い税率になるのであれば710万円の贈与もアリでしょう。
例えば710万円の贈与(実効税率12.6%)より高くなる相続税の方はどの程度の資産の方か試算すると、「母、子供2人」の二次相続のケースでは、母親に2億円以上の資産がある場合、母親が亡くなると3,340万円の相続税となり、実質的な税率は16%になります。よって、贈与税を払ってでも、今年710万円を贈与した方が結果として税負担が軽くなるのでアリですね。

このように敢えて贈与税を払って今年贈与する場合、来年3月の確定申告のときに贈与税の確定申告をする必要があります。また贈与契約書も、お金をあげた人、もらった人それぞれ1枚ずつ贈与契約書を交わすようにしましょう。

来年以降、贈与と相続どう変わる?

今年の政府税制調査会では「現行のような毎年110万円前後、生前贈与するということで相続税を節税するというような現実はケシカラン!相続・贈与の一体課税を!」というような内容でしたので、今後想定されるケースはいくつかあります。あくまで富裕層の連年贈与を問題視しているようなので、

・何らかの縛りで『富裕層の贈与を厳しく見る(110万円より金額を下げるとか)』
・『相続時精算課税制度のように一体化してしまう』
・法定相続人への贈与は『3年縛り』が存在するが、この縛り期間が長くする

などでないかと思います。さすがに贈与の意味を全くなくすようなことは現実的ではないですし、遡及効のような変更は世間に与える影響が大きすぎるので、そこまで踏み込むことは、さすがにないと思いますが、今後の贈与について大きな変更は覚悟する必要があるでしょう。

専門家に相談を

ということで、今後益々格差是正の名のもとに、富裕層狙い撃ちになる可能性は高いわけで、ある程度の資産を保有している方はますます相続対策が必要な世の中になりそうです。世界的に少子化は進んでいるわけで相続税の増税は世界的な潮流になるはずです(要は海外に移住しても難しい)。今後の増税に備えてきちんと専門家に事前に相談する必要があるのではないでしょうか。

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江幡 吉昭

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