第41回 相続時精算課税制度はお得?<前編>

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江幡 吉昭

2020-02-04

第41回 相続時精算課税制度はお得?<前編>

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通常の生前贈与では、年間110万円までしか贈与税は非課税にならない、ということはよく知られていますが、2,500万円までなら贈与税が非課税になる制度をご存じですか?
それは「相続時精算課税制度」という制度です。一度は耳にしたことがある方もいらっしゃるでしょう。
今回は、このお得そうに聞こえる相続時精算課税制度について、制度の概要をはじめ、メリットやデメリット、そして、実際に税金的にお得になるのか、といったことを見ていきましょう。
 

相続時精算課税制度ってどんな制度?

難しそうな名前ですが、制度そのものは難しいものではありません。
“60歳以上の祖父母・両親から、20歳以上の子や孫へ”生前贈与する際に、2,500万円まで贈与税を非課税にしますが、贈与した人が亡くなった(=相続が発生した)ときには、その人の遺産だけでなく、生前贈与した財産も持ち戻して相続税を課税します、という制度です。
年間110万円以上の贈与を行うと贈与税がかかるところ、2,500万円まで贈与税が非課税になると聞くと、素晴らしい特例のように聞こえますが、そんなに甘いものではなく、「相続時精算課税」という名のとおり、贈与した人に相続が発生した場合、贈与した財産を相続税申告の対象に含めて申告しなければなりません。つまり、2,500万円を相続時精算課税制度で贈与しても、亡くなったときに2,500万円を持ち戻して相続税の計算をしなければならないのです。

例えば、1億円を持っているAさんがいます。
このAさんが、相続時精算課税制度を使って、子どもに2,500万円を贈与したとします。
このとき、2,500万円までは非課税なので、贈与税は1円もかかりません。
贈与した後は、Aさんの手元には7,500万円の財産が残っています。
それから数年後、Aさんは亡くなりました。亡くなったとき、Aさんの手元には7,500万円が残っていたとします。
では、この7,500万円に相続税がかかるのかというと、ここが相続時精算課税制度の注意点です。
相続時精算課税制度を使って生前贈与した財産は2,500万円まで贈与税が非課税になります。
しかし、その人が亡くなってしまったときには、手元の財産だけではなく、この相続時精算課税制度を使って贈与した財産も含めて相続税を計算しなければいけません。
つまり、Aさんは、手元の財産7,500万円と相続時精算課税制度を使って贈与した財産2,500万円を加えた1億円に対して相続税が課税されるというわけです。
“2,500万円まで非課税”ということで、一見お得そうに見えますが、結局は、相続税が課税されることになります。「非課税」という言葉に惑わされないようにしないといけませんね。“節税”というわけではなく、“税金の先送り”という言い方が正しいかもしれません。 

2,500万円まで非課税の考え方

例えば、先ほどの1億円を持っているAさん。
相続時精算課税制度を使って1,000万円を贈与したとします。2,500万円の非課税枠に収まりますので、このとき贈与税は課税されません。
さらにその翌年、Aさんは再び1,000万円を贈与しました。
この1,000万円も贈与税は非課税になります。
前年に贈与した1,000万円と、その翌年に贈与した1,000万円を合計した2,000万円は、相続時精算課税制度の非課税枠2,500万円に収まりますので、贈与税は非課税になるというわけです。
この相続時精算課税制度における2,500万円の非課税枠という考え方は、一度きりの贈与だけではなく、一生の贈与累計額で使える金額ということです。
しかし、確かに贈与税は非課税になりますが、Aさんが亡くなったときには、一度目に贈与した1,000万円にも、二度目に贈与した1,000万円にも相続税が課税されるということになります。 

2,500万円を超えて贈与したらどうなるの?

例えば、先ほどのAさんが、今年1,500万円、来年も1,500万円贈与したとします。合計3,000万円になりますので、非課税となる2,500万円の枠を超えることになります。
この場合には、2,500万円を超えた500万円に対して、一律20%の贈与税が課税されます。つまり、100万円(500万円×20%)の贈与税を払わなければいけません。
なお、この贈与税100万円については、相続が発生したときに、相続税から控除されます。

今回(前編)はここまでです。
次回(後編)は、相続時精算課税制度のメリット、デメリットについて見てみます。
 

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