第21回 特別受益

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千葉 直愛

2020-01-14

第21回 特別受益

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今回から、「特別受益」の制度についてお話します。
 初回となる今回は、まずは制度の概要をご説明します。

特別受益って何?

CASE①
被相続人Aには法定相続人として子B、Cがいる。Bは長年Aと同居している。
Aには自宅土地建物(評価額4000万円)のほかに、預貯金が4000万円ある。
Aは、自宅土地建物をBに生前贈与して、その後遺言などを残さずに死亡した。
Bは、遺産分割協議の中で、預貯金を半分ずつに分けように主張しているが、CはBの分割案をとても不満に思っている。

遺産分割とは、被相続人の死亡時に存在する被相続人の財産(遺産)を、相続人間で分割することです。

では、被相続人が生前に多額の贈与をしていた場合、どうなるのでしょうか?

たとえば、CASE①で、Cが2000万円しかもらえないというのは、不公平だと思わないでしょうか?

このような生前贈与(遺贈も含まれますが、話を単純化するために、ここでは生前贈与を前提に話をします。)を、遺産に持ち戻す制度が「特別受益」です。

まずは条文を確認していきましょう。


(特別受益者の相続分)
第九百三条 共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。


特別受益は、一言でいうと、生前贈与分を、相続財産と「みなす」ことで、相続人間の不公平を解消する制度です。

CASE①で具体的に見てみましょう。

まず、「みなし相続財産」は、以下のとおり計算されます。
 相続財産:預貯金4000万円
 相続財産とみなされる財産:Bが生前に贈与を受けた自宅土地建物4000万円
 みなし相続財産:預貯金4000万円 + 自宅土地建物4000万円 = 8000万円

次に、みなし相続財産を基礎にして、各法定相続人の法定相続分を計算します。
 B:8000万円×1/2 =4000万円
 C:8000万円×1/2 =4000万円

最後に、生前贈与を受け取った法定相続人から、すでに贈与を受けた金額を控除します。
こうして計算される各相続人の取り分を「具体的相続分」といいます。
 B:4000万円 - すでに生前贈与を受けた土地建物分4000万円=0円
 C:4000万円(控除するものなし)

こうして、CASE①では、特別受益の規定を素直に適用すると、Cが預貯金4000万円を満額取得することで、BC間の不公平が解消されることになるのです。

  

過大な生前贈与を受けていた場合は?

CASE②
CASE①で、Aに預貯金が2000万円しかなかった場合はどうなるか。

CASE②でCASE①同様の計算をすると以下のとおりとなります。

「みなし相続財産」
 相続財産:預貯金2000万円
 相続財産とみなされる財産:Bが生前に贈与を受けた自宅土地建物4000万円
 みなし相続財産:預貯金2000万円 + 自宅土地建物4000万円 = 6000万円

みなし相続財産を基礎にした各法定相続人の法定相続分
 B:6000万円×1/2 =3000万円
 C:6000万円×1/2 =3000万円

具体的相続分
B:3000万円 - すでに生前贈与を受けた土地建物分4000万円=△1000万円
C:3000万円(控除するものなし)

この場合、Bは、Cに1000万円の現金を支払うことになるのでしょうか?
民法には次の定めがあります。

(特別受益者の相続分)
第九百三条
2 遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。


この規定の文言だけでは分かりにくいですが、この条項は、具体的相続分を超える受益をしたBは、超過する1000万円をCに返金する必要はない、という趣旨と解されています。

そうすると、結論は以下のとおりになります。

<実際の取得分>
B:△1000万円 < 0 =0円
C:3000万円 - 実際に不足する1000万円 = 2000万円



以上

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弁護士

京都大学法学部卒
神戸大学法科大学院修了

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