第18回 遺留分の放棄

第18回 遺留分の放棄

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今回は、遺留分の放棄についてご説明します。
※本記事と関連する過去の記事
https://egonsouzoku.com/magazine/magazine-932/
https://egonsouzoku.com/magazine/magazine-963/

1 遺留分制度

遺留分制度は、ある一定の相続人に対して、遺留分に相当する利益(金銭的価値)を相続財産から取得できる地位を保証するものです。
遺留分は、すべての相続人に与えられているわけではなく、兄弟姉妹以外の相続人、具体的には、配偶者、子ども、亡くなった方のご両親など(正確には、「直系尊属」といいます。)に限定されています。

2 遺留分制度の趣旨

遺留分制度の趣旨は、被相続人による財産管理と相続人の保護(相続人の生活保障及び遺産形成に貢献した遺族の潜在的持分の清算)の調整をすることです。

3 遺言と遺留分の関係

遺言をしても、それが遺留分を侵害している場合、遺留分の権利者から遺留分侵害額請求をされ、遺言とおりの財産の承継ができないおそれがあります。
この場合でも、遺留分権利者が遺留分の放棄をすれば、遺言とおりの承継を実現できる可能性があります。

4 相続開始後の放棄

相続開始後は、遺留分権利者は、遺留分権を自由に放棄することができます。

5 相続開始前の放棄

他方で、相続開始前の放棄には、一定の手続が必要です。
具体的には、家庭裁判所による許可が必要です(民法第1049条第1項)
家庭裁判所は、①遺留分権利者の自由意思(強制されたものでないこと)、②遺留分を放棄する理由の合理性・必要性、③代償性(放棄と引き換えの生前贈与や経済的援助等の存在)等を総合的に考慮して、許可の判断をしているとされています。
このように、家庭裁判所の許可が必要とされているのは、被相続人や他の相続人が、親の権威等を利用した不当な圧力により、遺留分権利者に放棄を強要することを防止するためです。

6 遺留分の放棄の効果・影響

複数の相続人のうちの1人がした遺留分の放棄は、他の相続人の遺留分に影響を与えません(同法第1049条第2項)。つまり、その遺留分の放棄によって、他の相続人の遺留分が増えることにはなりません。
なお、遺留分の放棄は、相続権自体を放棄して相続人でなくなる相続放棄とは異なります。つまり、遺留分を放棄した方は、相続人としての地位を引き続き有します。

7 遺留分の放棄に関する留意点

遺留分を侵害する内容の遺言を作成する場合、相続開始前の遺留分の放棄の手続により、生前に、遺留分侵害額請求の行使を防止して、遺言とおりの財産承継を図ることが可能です。
しかし、相続に関する紛争防止の観点及び家庭裁判所による許可取得の観点からは、被相続人による財産管理と相続人の保護の調整という遺留分制度の趣旨を理解し、遺留分を放棄する方が代わりに得る利益や放棄の合理性等を確保し、その方が納得のうえで自由な意思による放棄ができるようにする、という配慮が必要です。

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弁護士

早稲田大学法学部卒業
早稲田大学法科大学院修了

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