第4回 法定相続情報証明制度 

 イメージ

山下 昌彦

2024-02-02

第4回 法定相続情報証明制度 

  • sns_icon01

1. 法定相続情報証明制度とは

法定相続情報証明制度とは、平成29年5月から開始された制度で、全国の登記所(法務局)に戸籍謄本やそれに基づいて作成した法定相続情報一覧図を提出すると、登記官がその内容を確認し、認証文付きの法定相続情報の一覧図の写しが無料で交付される制度です。

この制度が開始される前までは、各種の相続手続(相続した不動産の名義変更等)において、被相続人の戸除籍謄本等の束を、それぞれの申請先窓口に何度も提出し直す必要がありました。
法定相続制度は、このような煩雑な相続手続を簡略化するための制度です。認証文付きの法定相続情報一覧図の写しの交付を受ければ、その後の手続においては被相続人の戸除籍謄本等の束を都度提出する必要はなく、法定相続情報一覧図の写しをそれぞれの申請先窓口に提出することで、相続手続をスムーズに進めることが可能となります。

2. 法定相続情報一覧図を利用できる主な相続手続

法務局より交付を受けた法定相続情報一覧図を利用できる主な相続手続は、下記のとおりです。
■ 相続登記
■ 預貯金の口座解約
■ 株式・投資信託等の証券口座の名義変更
■ 自動車の名義変更
■ 生命保険の死亡保険金受領
■ 遺族年金等の年金請求手続
■ 相続税の申告
なお、預金口座の解約、証券口座の名義変更、生命保険の死亡保険金受領等につきましては、該当する金融機関・証券会社・保険会社に法定相続情報一覧図を利用できるかどうか、予めご確認下さい。

3. 手続の流れ

(1) 必要書類の収集
必ず準備する必要がある書類は、下記のとおりです。

第4回 法定相続情報証明制度 の画像

場合によっては必要となる書類は、下記のとおりです。

第4回 法定相続情報証明制度 の画像

(2) 法定相続情報一覧図の作成
被相続人及び戸籍の記載から判明する法定相続人を一覧にした図を作成する必要があります。様式及び記載例は、法務局のウェブサイトからダウンロードすることができますので、これを利用されると比較的容易に作成することができます。

(3) 申出書の記入・登記所への申出
申出書に必要事項を記入し、前述(1)で準備した書類、及び前述(2)で作成した法定相続情報一覧図と併せて申出をします。
申出書の及び記載例は、法務局のウェブサイトからダウンロードすることができます。

4. 注意点

■ 法定相続情報証明制度は、被相続人の法定相続人が誰であるかを証明する制度ですので、遺産分割協議の結果や相続放棄については、法定相続情報一覧図に反映されません。遺産分割協議や相続放棄があった場合の相続手続においては、法定相続情報一覧図に加え、遺産分割協議書や相続放棄申述受理証明書を、それぞれの申請先窓口に提出する必要があります。
■ 被相続人や法定相続人が日本国籍を有していない等、戸籍謄本・抄本を取得できない場合、法定相続情報証明制度を利用することはできません。
■ 法定相続情報一覧図は、その保管期間中(5年間)であれば、その写しの再交付を受けることができます。しかし、再交付の申出ができるのは、当初に法定相続情報一覧図の交付の申出をした申出人に限られます。他の法定相続人が再交付の申出をする場合は、当初の申出人からの委任が必要となります。

弁護士 イメージ

弁護士

京都大学法学部卒業
甲南大学法科大学院修了

人気記事

  • 広告
  • 広告
  • 広告
  • 広告
  • 広告

遺言や相続でのお悩みを
私達が解決します。

フリーダイヤル0120-131-554受付時間 : 平日9:00〜17:00