第25回 家を売却するときの税金の特例(税金が軽くなりますよ)

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油良 俊寛

2023-03-28

第25回 家を売却するときの税金の特例(税金が軽くなりますよ)

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不動産を売却した場合、売却して得られた利益(譲渡所得)に対して譲渡所得税(所得税・住民税)が課せられます。
「譲渡所得=売却代金-取得費-譲渡費用」に対して、所有期間5年以下(短期譲渡所得)の場合に39.63%、5年超(長期譲渡所得)の場合に20.315%の税率(所得税・住民税合計)を掛けて計算されます。
※税率は2023年3月時点。
※「所有期間が10年超の場合のマイホームの軽減税率の特例」もありますが、今回は割愛します。
この譲渡所得税ですが、ご経験された方はお分かりになると思いますが、かなりの金額(数百万とかはザラです)になることもよくあります。
「売却した後でそんな税金があることを知った…」
「手残りがかなり減った…そんなに税金がかかるなんて…」
という声もよく聞きます。
今回は、その譲渡所得税を軽減できる2つの「3,000万円の特別控除」についてご紹介します。
「3,000万円の特別控除」とは、簡単に言うと、不動産の売却で得られた利益(譲渡所得)を、最高3,000万円までは控除できる(税金がかからないようにできる)制度で、①マイホームを売却したとき、②“相続した”空き家を売却したとき、の2つのケースで適用することができます。
売却をお考えの際には、念頭に入れてご検討いただければと思います。

その①:マイホームを売却したとき

マイホーム(居住用財産)を売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があります。
「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」といいます。
※要件等の概要は以下のとおりですが、詳細については必ず税理士等の専門家や税務署にご相談、ご確認ください。

■特例の適用を受けるための要件

(1)自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること。
なお、以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
(注)住んでいた家屋または住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の2つの要件すべてに当てはまることが必要です。
a.その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
b.家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。

(2)売った年の前年および前々年にこの特例またはマイホームの譲渡損失についての損益通算および繰越控除の特例を受けていないこと。

(3)売った年、その前年および前々年にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例の適用を受けていないこと。

(4)売った家屋や敷地等について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。

(5)災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地を住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。

(6)売り手と買い手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと。

■適用除外

次のような家屋には適用できません。
(ⅰ)この特例の適用を受けることだけを目的として入居したと認められる家屋
(ⅱ)居住用家屋を新築する期間中だけ仮住まいとして使った家屋、その他一時的な目的で入居したと認められる家屋
(ⅲ)別荘などのように主として趣味、娯楽、保養のために保有する家屋

■手続き

この特例の適用を受けるためには、一定の書類を添えて確定申告をする必要があります。
必要な書類については、国税庁ホームページや税務署等にてご確認ください。

その②:“相続した”空き家を売却したとき

相続または遺贈によって取得した被相続人(亡くなった人)の居住用家屋またはその家屋の敷地を売却した場合で、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます。
被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例といいます。
※対象となる「被相続人居住用家屋」および「被相続人居住用家屋の敷地等」や、その適用要件等の概要は以下のとおりですが、詳細については税理士等の専門家や税務署にご相談、ご確認ください。

■特例の対象となる家屋

(ⅰ)昭和56年5月31日以前に建築されたこと。
(ⅱ)区分所有建物登記がされている建物でないこと。
   ※区分所有建物であるマンションや二世帯住宅は特例の適用不可
(ⅲ)相続開始直前において、被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。

※要介護認定等を受けて老人ホーム等に入所するなど、特定の事由により相続開始直前において被相続人の居住の用に供されていなかった場合で、一定の要件を満たすときは、その居住の用に供されなくなる直前まで被相続人の居住の用に供されていた家屋は対象になります。

■特例の対象となる敷地等

相続開始直前において、被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地またはその土地の上に存する権利をいいます。

■特例の適用を受けるための要件

(1)売った人が、相続または遺贈により被相続人居住用家屋およびその敷地等を取得したこと。
(2)次の(イ)または(ロ)の売却をしたこと。
(イ)相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋を売るか、被相続人居住用家屋とともにその敷地等を売ること。
(注)被相続人居住用家屋は次の2つの要件に、被相続人居住用家屋の敷地等は次のa.の要件に当てはまることが必要です。

a.相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付の用または居住の用に供されたことがないこと。
b.譲渡の時において一定の耐震基準を満たすものであること。
(ロ)相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋の全部の取り壊し等をした後にその敷地等を売ること。
(3)相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
(4)売却代金が1億円以下であること。
(5)売った家屋や敷地等について、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や収用等の場合の特別控除など他の適用を受けていないこと。
(6)同一の被相続人から相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋またはそ の敷地等について、この特例を受けていないこと。
(7)親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものではないこと。

■手続き

この特例の適用を受けるためには、一定の書類を添えて確定申告をする必要があります。
必要な書類については、国税庁ホームページや税務署にてご確認ください。

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税理士

監査法人トーマツ(現有限責任監査法人トーマツ)にて東証1部上場の大手商社などの金融商品取引法監査に従事
税理士法人ゆびすいにて相続税、法人税、所得税など各種税務案件に従事
2017年アステルフォース税理士事務所を開設、資産税を中心に活動し現在に至る
株式会社アレース・ホールディングス取締役

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