第79回 タンス預金の“意外な落とし穴”

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江幡 吉昭

2023-03-31

第79回 タンス預金の“意外な落とし穴”

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私が3月2日にダイヤモンドオンライン向けに書いた「タンス預金は来年から実質的にダメになる?」と言う記事がかなり読まれました。通常ダイヤモンドオンラインに掲載されるとYahoo!ニュースに転載されますが、両方合わせて50万PVくらいはあった模様です。そのような背景もあり、3月27日発売の週刊ダイヤモンド(4/1発売号)にも2ページ掲載されています。

要は「タンス預金を福沢諭吉でしていても来年に新札の渋沢栄一になってしまったら表にだせなくなりますよ」というお話です。みなさんがタンス預金をする背景には、税金が高いということを考えているようですが、今回の旧札から新札の切り替えは税法もそうですが犯罪収益禁止法の話にひっかかるというものなのです。

犯罪収益防止法のために特定取引を行う際に、顧客の「本人特定事項」等の確認が必要になります。 顧客が個人のときは、本人特定事項(氏名・住居・生年月日)、取引 目的及び職業を、顧客が法人のときは、本人特定事項(名称・本店等所在地)、取引目的、事業内容及び実質的支配者を確認する必要があります。当然、金の売買などはとくに上記のような詳細な個人情報を記載することで売り手や買い手の詳細が取引業者を通じて当局に知られるわけなので、一度裏に隠すと表にあげられなくなるということです。

新札に変わった来年の春以降、旧札の福沢諭吉の10,000円札であるタンス預金を大量に銀行に預け入れに行ったとします。金融機関はマネーロンダリングや脱税資金のお金は疑わしい取引として預け入れたくないわけです。それを書いたのが今回の記事。

お客さまの相続の話になると「私は相続税対策に関してはしなくて大丈夫なんです。だって、タンス預金しているんです」という人。また、ずいぶん減りましたが「現金商売しているので一番の節税は売上をごまかして家に保管しています~」という人。そのような人は来年の渋沢栄一という新札に切り替わったらその大量のお金を表に出せなくなります。銀行の窓口にもっていったら間違いなく「疑わしい取引」として当局に通報されるわけです。金塊もどちらかというと買ってそのまま保管して子供に黙って引き継がせようという人もいますが、売却するときにどうしても犯罪収益防止法に抵触する可能性もあるので表に出しづらいことになるわけです。ですのでこの辺の話は「タンスに入れておしまいはいいけれど表に出せなくなりますよ」と言う話なのです。

生前贈与に関しては今年以降、条件は変わるものの継続します。合法的に対策を取っていく必要があると考えます。

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江幡 吉昭

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