毎年「改善」されている事業承継税制ですが、あまり知られていませんが結局のところ、自社株の株価を下げる、所謂「株価対策」は必要です。
それでは簡単に説明していきましょう。
まず、事業承継税制の注意点として言われていることの一つに「後継者以外の相続人への配慮が必要」ということが挙げられます。
その中でもつい見落としがちで、でも大変重要なことは「後継者以外の相続人の相続税はどうするか?」という問題なのです。
相続税が他の税金と大きく異なるのは、自分が受け取った財産で税率が決まるのではありません。「亡くなった方の総財産で税率が決まる」ため、相続税自体は納税猶予される自社株も加味された総財産額をベースにした“高い税率”で算定されるのです。
後継者は事業承継税制により納税が猶予されますので「悪い話ではない」ものの、後継者以外の方は“自分が受け取っていない財産も含めて計算された高い税率”を乗じた高い金額の相続税を納付することになります。
そのため、他の相続人のことを考慮せずに事業承継税制を適用すると「後継者はいいけれど、他の相続人は結局高い相続税を支払う」羽目になります。よって、事業承継税制を適用する前に株価対策をして相続財産全体を縮小することは今まで通り必要となるわけです。
皆様も事業承継税制を使おうとする場合、このポイントに注意していただければと思います。
税理士
株式会社タクトコンサルティング入社
税理士法人タクトコンサルティング代表社員就任
平成23年 税理士法人エクラコンサルティング/株式会社エクラコンサルティングを設立
~現在に至る