第48回 遺産分割調停

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熊本 健人

2021-12-07

第48回 遺産分割調停

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今回は、遺産分割調停について解説します。

調停とは

そもそも、調停とはどのような手続でしょうか。ひとことで言うと、調停とは、裁判所が間に入った話し合いの手続です。遺産分割や離婚など、当事者同士が話し合いをしても、感情的な対立があり、なかなか話し合いが進まないのが通常です。そこで、裁判所が間に入って、話し合いを円滑に進めていこうとする手続きが調停です。

 調停は、調停委員2名(男女各1名)が当事者双方から話を聞く方法で進められます。調停委員は法律的な論点については、適宜担当の裁判官と相談しながら進めていきます。
テレビや映画などで目にするような法廷で行われるのではなく、裁判所の1室にあるラウンドテーブルを使って話し合いが行われます。調停は1か月に1回程度の頻度で開催され、1回あたり2時間程度の時間です。通常は、約30分毎に当事者が入れ替わり、調停委員が順番に話を聞いていきます。申立人→相手方と順番に調停委員と話をし、これを1回の期日で2巡するのが一般的です。
感情的な対立が想定される調停では、当事者を一同に介して話し合いを進めることはあまりなく、上記のように当事者を個別に呼び出して話を聞くことが一般的です。当事者の待合室は別々に設けられ、顔を会わせたくない場合は一定の配慮もなされます。

遺産分割調停に参加できる者

相続人は勿論参加することができます。相続分を相続人から譲り受けた第三者も遺産分割手続に参加することが可能です。
では、相続人の配偶者はどうでしょうか。例えば、病弱な相続人の代わりにその配偶者が同席の許可を求めた場合、裁判所は許可するでしょうか。このような場合であっても、事実上の同席はもちろん、利害関係人としての参加も認められていません。

遺産分割調停の進行

遺産分割は様々な論点が複雑に絡み合います。調停の進行としては、問題となる論点に論理的な順番を付けて、一つ一つ順番に解決していく方針が一般的に取られます。具体的には、以下の流れで進行します。

1.相続人の範囲の確定
誰が相続人であるかをまず確定します。たとえば、養子縁組の効力に争いがあり、その養子が相続人かどうかを争われることが実務上は多くあります。

2.遺言、遺産分割協議の有無の確認
相続人の範囲が確定した場合、遺言、遺産分割協議の有無を確認することになります。遺産分割協議書が作成されていれば、遺産分割調停を進行させることはできません。

3.遺産の範囲の確定
どの財産を分けるのかを確定します。通常は、遺産分割調停の第4回目期日までに確定されます。
なお、本来は遺産分割の対象財産でなくても、当事者間で合意をすれば、調停では遺産分割の対象にすることも可能です。具体的には、負債、他人名義の資産、家賃、葬儀費用などです。ただし、負債、他人名義の資産などは相続人全員の同意があっても審判には移行されません。

4.遺産の評価
遺産の範囲が確定すると、その評価額を決めることになります。当事者間で合意さえできれば、評価額は自由に決めることができます。たとえば、不動産の評価について合意できない場合は、不動産鑑定を行うことになります。

5.相続分の確定
1~4までが決まると、具体的な相続分を確定します。たとえば、特別寄与や特別受益が問題になる場合は、特別受益の持ち戻しや特別寄与の寄与分を相続分に加算するなどの処理を行い、各人の具体的な相続分を確定します。
具体的相続分を合意できない場合は、審判に移行させることが可能です。逆に、1~4が決まらない間は、審判に移行させることができません。

6.分割方法の確定
最後に、誰が何を取得するのかを決めることになります。遺産の評価額と各相続人の具体的な相続分は既に確定していますので、各人の取得分を数字で示すことができます。各人が取得を希望する遺産を確認し、具体的な相続分との差額を代償金で調整するなどします。

以上の流れで遺産分割調停が行われます。全て終了するまで、通常は約8回の期日が開催され、全体の7割程度の遺産分割事件が1年以内で終了しています。

調停に代わる審判

当事者間で概ね合意ができているにもかかわらず、海外居住や高齢などの理由により、裁判所に行くのが困難である者がいることがあります。このような場合、全員が調停に出席しないため、調停が成立しないことになってしまいます。
そこで、実務上は、まず出席当事者全員で調停条項案を作成したうえで、中間調書に記載し、この条項案を裁判所から欠席当事者に送付し、同意をもらい、その上で「調停に代わる審判」を出すのが一般的です。送付後、一切返答がない当事者も中にはいますが、その場合でも、積極的な異議が出ない限り、「調停に代わる審判」を出すのが実務上一般的です。

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熊本 健人

学習院大学法学部卒業
神戸大学法科大学院修了

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