9月24日発売の週刊文春の特集「コロナで変わった死後の手続き最新版」の2週目の取材がタレントの酒気帯び運転逮捕報道で企画自体が飛んだ関係上(ちなみに以前は貴乃花問題でも企画が飛んだことがありました)、文春に話した内容と自分なりに考えた「コロナと相続」について書いてみた2回目の記事となります。内容が膨らんでしまったので、次回でこのテーマは最後となります。
<目次>
1.相続前の手続きはどうコロナで変わった?(前回参照)
2.コロナにならずに入院して死亡した場合(前回参照)
3.コロナになって死亡した場合は?
4.相続後の手続きはコロナでどう変わった?
3.コロナで死亡すると家族に不便をかける
コロナに感染した重篤な患者は自宅療養ではなく、即大病院に入院となります。
しかし、前回の『2.コロナにならずに入院して死亡した場合』でお話ししたとおり、一度入院してしまったらお財布等の持ち物は持ち出せません。家族が病院に取りに行ったとしてもダメなのです。
一つ実話をご紹介しましょう。
夫婦とお子様2人のご家庭です。そのご家庭の財布はお父様が持っており、
生活費として毎月数十万円を奥様に渡していました。
そのお父様がコロナで入院、意識不明の重体となってしまったのです。
奥様は生活費がもらえず、病院に駆け込みます。『主人の財布を出してもらえませんか?』と。
生活費がなくなり困った奥さまは、『主人の財布を出してもらえませんか』と病院に掛け合うも、コロナが付着している財布を外に出せるはずはなく、断られてしまいます。さらに、もう一つ困ったことが起きます。私立の大学と高校に通う子ども達の秋の学費支払いが合計約200万円、その振込票が届いたのです。
このように、コロナで入院すると通常では想定できない困ったことが起きるので、やはり『コロナにかかったかな?』と思った場合、『どこに何があるか遺された家族に伝えたうえで、病院に行くべき』でしょう。また、万が一コロナで亡くなると病院から遺族に連絡が来ます。『お財布、携帯、パジャマ等の遺品がありますが、どうしますか?基本的に焼却処分にしますので、どうしても欲しいものは連絡ください』という内容です。
どうしても必要な財布や携帯は、病院から受け取ったとしても、ジップロックに入った状態で、『7日間はコロナが付着している可能性があるので注意してください』と病院から言われます。もちろん厳格に守っていたら葬儀はもちろん7日間何もできなくなってしまうため、入院前の準備が大切というわけです。
タレントの志村けんさんがコロナになって亡くなられた時、ご遺体に会えず、お骨となって戻ってきたという報道がされていましたが、実際はコロナで亡くなると前回も申し上げたとおりご遺体から多くのコロナが排出されますので、ご遺体に会うことはおろか、焼き場で骨を拾うようなこともできないといった話もたくさん聞きます。コロナは感染自体も大変なことですが、入院したり、万が一の事態が発生した場合、多くの不都合をご家族にかけることになるのです。