先日、大々的な報道がありました。オウム真理教事件で7人の死刑が執行されました。
元代表の麻原こと松本智津夫元死刑囚の遺骨について法務省が遺骨を引き渡す方針としたのは四女でした。わたしは、この四女が使命された背景に意思能力の問題が含まれていると考えているので、皆さんどうかお気を悪くせずもう少し私の記事にお付き合いください。
関係者によると東京拘置所職員が遺体の引き取り人を尋ねたところ松本死刑囚が四女と答えた更に名前も伝えたとされています。しかし、その一方で三女を中心とする妻と子供4人は松本死刑囚の精神状態からそのような遺言は有り得ないと主張しています。また長年オウムを取材されてきた有田氏は常識的に考え意思表示ができない彼が離婚もしていなかった妻以外を指名するのは考えられないと発言しています。
法務局の政治的判断との声も聞こえてくる中で問われるのは死刑執行直前の意思能力の確認の方法ではないでしょうか。
いやそれは無理があるでしょう。そう思われる方がいるかもしれませんが、このような重大的でかつ死後大きな問題が予測される本件に関してあまりにも稚拙な確認作業ではなかったかと思います。そしてこのように意思能力鑑定の多岐に渡る活用方法に気づくきっかけになった症例をご紹介します。それは、大手信販会社からの相談でした。契約者が自己破産したため、保証人になっていた契約者の実父に返済責任を追及したところ、契約者の姉から契約当時の父親は既に認知症を患っていたとの主張をされたというものでした。彼らもこれでは回収ができないため意思能力鑑定が本事案に適応できないかというものでした。
意思能力鑑定が今後の高齢化社会の中で活用されることが人生のリスクを未然に防ぐ手段の一つになることは確かでしょう。
最後に意思能力鑑定を皆様にご理解いただく目的で症例を交えてご紹介してきました。
1話では、高齢化社会の現状とこれに纏わる社会的問題について、2話では脳の機能的な役割と検査、そしてMCI(軽度認知症)で発見してコントロールする方法を、3話では認知症検査を受ける時期について、そして今回が最終話でした。
わたしは全国各地で講演会などもしていますのでもし参加されるようなことがあればお声を掛けてくだされば光栄です。
以上