第8回 小規模宅地等の特例~配偶者が取得した場合の取り扱いについて~

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油良 俊寛

2018-08-24

第8回 小規模宅地等の特例~配偶者が取得した場合の取り扱いについて~

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小規模宅地等の特例とは?

小規模宅地等の特例を簡単に説明しますと、被相続人(亡くなられた方)が事業をしていた宅地や、居住していた宅地、貸付事業用として使用していた宅地などの評価を減額できる制度です。
要件を満たせば、被相続人(亡くなられた方)が事業(貸付事業用を除く)をしていた宅地や、居住していた宅地1億円の居住用宅地の評価額が2,000万円になります。つまり土地の評価が80%減額になります。貸付事業用の宅地については評価減は50%です。
宅地の評価額が減るということは、それだけ節税ができるということです。
上記の例で言うと相続税率が50%の方であれば、評価額が下がった分に相続税率分が節税できます。つまり8000万円×50%で4000万円の節税ができる制度です。
ただし、特例が適用できる宅地には制限があるので注意が必要です。 

小規模宅地等の特例を配偶者が適用する場合

この小規模宅地等の特例で主に「配偶者」が相続した場合はどうなるのかを見ていきましょう。

・特定事業用宅地等
被相続人等(生計一親族も含みます)が事業(貸付事業を除きます)をしていた宅地です。自営業者などが店舗や工場として使用していた建物の敷地のことです。下記の2つの要件となります。
イ 事業継続要件
被相続人の事業を申告期限までに引き継ぎ、かつ、事業を申告期限まで継続すること
ロ 保有継続要件
その宅地等を申告期限まで保有すること

・特定同族会社事業用宅地等
法人の事業(貸付事業を除きます)をしていた建物の敷地です。被相続人が所有していた土地で、被相続人自身や親族が経営する会社が店舗や工場などを運営している場合などが該当します。
法人であれば何でも良いという訳ではなく被相続人や被相続人の親族により支配されている(50%超所有)法人でないといけません。主な要件は下記のとおりです。
イ 賃貸借要件
その法人に対して相当な対価でその宅地又は建物を賃貸していること
ロ 法人役員要件
その宅地等を取得した親族が申告期限においてその法人の役員であること
ハ 保有継続要件
その宅地等を申告期限まで保有すること

・貸付事業用宅地等
被相続人等(生計一親族も含みます)が貸付事業をしていた宅地です。
下記が主な要件になっています。
イ 事業継続要件
被相続人の貸付事業を申告期限までに引き継ぎ、かつ、貸付事業を申告期限まで継続すること
ロ 保有継続要件
その宅地等を申告期限まで保有すること
 

特定居住用宅地を配偶者が取得した場合

最後に特定居住用宅地について確認しましょう。
・特定居住用宅地
被相続人が居住していた宅地が該当し、居住の要件や相続する人にも色々な要件がありますが、配偶者の場合は、特定居住用宅地に該当している場合は取得することが条件です。

つまり、特段の条件なしに配偶者であれば、取得すればこの特例が受けられますので、相続の遺産分割の際などに検討することをオススメします。
 

共有で取得した場合

例えば被相続人が居住用にしていた宅地(特定居住用宅地)を、配偶者と、子供が取得したとします。子供は一緒に住んでいなかったなど一定の場合は特定居住用宅地の特例が受けられません。
その場合、配偶者が取得した分だけ、小規模宅地等の特例を受けることができるのか、という疑問が生じますが、こちらは問題なく受けることができます。

小規模宅地等の特例を宅地の取得者が配偶者の場合に適用できるかどうかについて見てきました。この特例は相続の際は適用しないと損するものとわかって頂けたと思いますが、適用できるかどうかの要件が非常に複雑ですので、ご自身で検討するだけでなく専門家に確認されるのが良いでしょう。
 

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税理士

監査法人トーマツ(現有限責任監査法人トーマツ)にて東証1部上場の大手商社などの金融商品取引法監査に従事
税理士法人ゆびすいにて相続税、法人税、所得税など各種税務案件に従事
2017年アステルフォース税理士事務所を開設、資産税を中心に活動し現在に至る
株式会社アレース・ホールディングス取締役

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