認知症になると相続対策や終活ができなくなる

認知症になると相続対策や終活ができなくなる

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(1)認知症の人の法律行為が無効になる

認知症の人(※認知症の程度にもよりますが、一般的には中程度以上の人)は、民法上「意思能力のない者」として扱われます。そして、意思能力がない人の法律行為(契約行為など)は「無効」となることになっています。もし、医師から認知症と診断を受けると、法律行為が無効とされます。
具体的には、次のような行為ができなくなりますが、相続対策としてはどれも重要な内容であり、事実上、相続対策ができなくなることになります。
①不動産の購入、売却、賃貸契約
②預貯金口座の解約、引き出し
③生命保険の加入、解約
④子、孫などへの生前贈与
⑤遺言書の作成
⑥養子縁組
⑦遺産分割協議への参加

(2)法定後見制度にすると何もできない

本人(被後見人のことを指します。以下同じ)の意思能力が衰えていて、財産の管理や契約行為ができないときには、裁判所によって選出された成年後見人が、その人に代わって、財産の管理や契約行為を行うことになります。これが「法定後見制度」です。
ただし、成年後見人の主たる役割は、“本人の利益のために”必要な代理行為を行うとともに、本人の財産を適切に管理、保全していくことです。財産を売却するにしても、預金を引き出すにしても、すべては本人のために行わなければならないのです。

他方、相続対策というのは本人の利益のためではなく、相続人の利益のために行うものです。
節税対策については、相続税も贈与税も払うのは本人(被相続人)ではなく相続人ですから、財産を引き継ぐ相続人が多額の税金を負担しなくても済むように行うのです。
本人が生きている間に子や孫に生前贈与することは、本人の資産額を減らし、不利益を与えるということになるので認められません。
また、いかに争わずに財産を分けるかという遺産分割対策についても、本人が困るからではなく、遺された家族の間でトラブルにならないように対策をするものです。
このように、法定後見制度を用いると、相続対策はできないのです。
 

(3)認知症の人が残した遺言書は有効か

認知症の人が遺言を残している場合には、その遺言が有効か無効かの問題が生じます。
遺言に関するルールは民法で決まっており、15歳以上の人であれば遺言を行うことができます。
しかし、遺言を行ったときに認知症などによって正常な意思・判断能力を欠いていた場合には、その遺言は無効とされてしまう可能性があるのです。

次回に続きます。

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