“生前贈与が抜本的に見直される”
“暦年贈与110万円の非課税枠がなくなるかも”
昨年から今年にかけて、このテーマについて各メディアでも大きく取り上げられてきました。今も書店に並ぶビジネス雑誌でよく目にしますよね。特に金融機関にお勤めの方にとってはとてもインパクトの大きい話題です。(例えば、祖父母や親が、子や孫に対して、生前贈与をして、そのお金で(主に貯蓄性の)生命保険に加入していることも多いかと思いますが、そんな方々にも影響が出てきます。)
では来年2023年度はどうなるのか。
その内容は近日中(12/15あたりか)に公表される「税制改正大綱」で明らかになります。
昨年末に公表された2022年度「税制改正大綱」では、具体的な改正には触れられることはなく、“相続税と贈与税の一体化について不断の見直しを行っていく”という内容に留まりました。今年も、公表後すぐに新聞各紙(特に日経新聞には大きく詳しく)に掲載されますので要チェックです。
110万円の非課税枠はどうなる?
110万円の非課税枠は、世間に与える影響が特に大きいと考えられることから(当面?)継続されるとの見方が広がっています。
フタを開けてみなければ分かりませんが、いずれにせよ今年(12/31まで)の生前贈与はきちんと実行しておくことが大切です。資産規模によっては、110万円を超えてでも(=贈与税を納税してでも)生前贈与した方が、相続税も踏まえた全体的な税金負担が結果的に軽くなることにもなりますので、適正な贈与額など専門家に相談されることをオススメします。
3年内贈与加算が●年内贈与加算に?
3年内贈与加算とは、相続や遺贈で財産を取得した人が、相続開始前3年以内に被相続人(亡くなった人)から贈与によって財産を取得したことがある場合、贈与によって取得した財産の価額を相続財産に持ち戻して相続税を計算するというものです。“3年縛り”と言われたりもします。
例えば、一昨年、昨年と、親が子どもに110万円の生前贈与をしたが、今年その親が死亡した場合、贈与したその220万円(110万円×2年分)は親の相続財産に持ち戻して相続税を計算しなければならないということです。せっかく生前贈与したのに、相続税負担は変わらないということになります。相続発生直前に生前贈与によって財産を子どもなどに移転して、相続税負担から逃れるということを防ぐ目的があります。
その持ち戻し対象の期間が3年から、7年?10年?15年?に延びると考えられています。
よって、私もよく「生前贈与したら3年は元気に生きてくださいね」とお伝えしていますが、来年からは「7年?10年?15年?は元気に生きてくださいね」と言わなくてはならなくなってしまいます。
このことから、生前贈与は“できるだけ早くから始めること”が大切になります。60代から始めても決して早すぎることはありません。
また、“過去の生前贈与には遡及しない”ということになれば、やはり今年中の生前贈与は効果的ということになります。
その他にも果たして見直しが入るのか要注目です。