第60回 許認可と相続

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熊本 健人

2022-12-20

第60回 許認可と相続

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今回は、許認可、登録、届出などを行って事業を営む個人事業主が亡くなった場合に、その相続人が許認可等を引き継ぐことができるかどうかという問題について、解説します。

<CASE>
 Aは建設業の許可を取得し、個人で建設事業を営んでいた。Aが死亡し、Aの長男BがAの財産を承継した。Bは、Aが取得した建設業許可を承継し、Aの建設事業を引き継ぐことができるか。

許認可と相続

個人事業主が事業の許認可、登録、届出を行っている場合、相続人がその事業を引き継ぎたいときは、相続によって承継できる事業と承継できない事業があります。
たとえば、クリーニング所、理容所、美容所、食品衛生法及び食品衛生に関する条例に基づく許可業種、興行場、公衆浴場、米穀小売業、製造たばこ小売販売などの事業については、所轄の官公署に対し、承認届を提出すれば、相続人が欠格事由に該当するなどの事情が無い限り、事業者の地位を承継することができます。
また、酒類販売免許、旅館業、風俗営業などの事業については、所轄の官公署に対して、相続の申請手続を行い、承認されると、事業者の地位を承継することができます。相続人が欠格事由に該当するなどの事情が無いことが必要である点は同様です。
他方で、診療所、助産所、飼育動物診療施設(動物病院)、薬局、医薬品の店舗販売業、歯科技工所、施術所、動物取扱業、質屋営業、古物営業、宅地建物取引業免許等の事業については、地位の承継に関する規定が特に定められていない業種であるため、相続人が引き続き事業を行おうとするときは、被相続人についての廃業等の手続きを行ったうえで、新規に許認可又は登録を受け、あるいは届出を行う必要があります。

建設業と相続

建設業者が個人事業主の場合、承継に関する規定がこれまでは建設業法に定められていなかったため、被相続人についての廃業等の手続きを行ったうえで、相続人は、新たに建設業許可を取得する必要がありました。もっとも、近年、建設業法が改正され、建設業許可の相続を受けることが実質的に可能となりました(建設業法第17条の3)。
 
具体的な手続の流れは以下のとおりです。
①被相続人の死亡後30日以内に、相続人が認可の申請を行う。
②認可の申請後については、被相続人死亡の日から認可を受ける日まで(認可が下りなかった場合は死亡の日から認可をしない旨の通知を受ける日まで)は、被相続人が取得していた建設業許可は相続人に対する許可とみなされる。
③許可が下りた場合は、建設業許可が承継され、その有効期間は、承継の日の翌日から起算される。

 したがって、上記<CASE>の場合、BはAが死亡してから30日以内に、認可の申請を行えば、Aの建設事業を引き継ぐことができる可能性があります。

以下、ご参考まで。

【建設業法】
 (相続)
第十七条の三 建設業者が死亡した場合において、当該建設業者(以下この条において「被相続人」という。)の相続人(相続人が二人以上ある場合において、その全員の同意により被相続人の営んでいた建設業の全部を承継すべき相続人を選定したときは、その者。以下この条において単に「相続人」という。)が被相続人の営んでいた建設業の全部を引き続き営もうとするとき(被相続人が一般建設業の許可を受けていた場合にあつては相続人が当該一般建設業の許可に係る建設業と同一の種類の建設業に係る特定建設業の許可を、被相続人が特定建設業の許可を受けていた場合にあつては相続人が当該特定建設業の許可に係る建設業と同一の種類の建設業に係る一般建設業の許可を受けている場合を除く。)は、その相続人は、国土交通省令で定めるところにより、被相続人の死亡後三十日以内に次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者に申請して、その認可を受けなければならない。
一 被相続人が国土交通大臣の許可を受けていたとき 国土交通大臣
二 被相続人が都道府県知事の許可を受けていたとき 当該都道府県知事。ただし、次のいずれかに該当するときは、国土交通大臣とする。
イ 相続人が国土交通大臣の許可を受けているとき。
ロ 相続人が当該都道府県知事以外の都道府県知事の許可を受けているとき。
2 相続人が前項の認可の申請をしたときは、被相続人の死亡の日からその認可を受ける日又はその認可をしない旨の通知を受ける日までは、被相続人に対してした建設業の許可は、その相続人に対してしたものとみなす。
3 第七条及び第八条の規定又は同条及び第十五条の規定は一般建設業の許可を受けていた被相続人又は特定建設業の許可を受けていた被相続人に係る第一項の認可について、前条第五項の規定は第一項の認可をしようとする承継に係る建設業の許可又は相続人が受けている建設業の許可について、それぞれ準用する。
4 第一項の認可を受けた相続人は、被相続人のこの法律の規定による建設業者としての地位を承継する。
5 前条第六項及び第七項の規定は、前項の規定により被相続人の建設業者としての地位を承継した相続人について準用する。

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熊本 健人

学習院大学法学部卒業
神戸大学法科大学院修了

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