第17回 預貯金の仮払い制度のことは知っておこう!

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貞方 大輔

2021-03-09

第17回 預貯金の仮払い制度のことは知っておこう!

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直近の民法(相続法)改正にて、2019年7月より始まった預貯金の仮払い制度ですが、意外とまだご存じでない方もたくさんいらっしゃいますので今回ご紹介します。

どんな制度?

相続が発生すると、金融機関が把握した時点で被相続人(亡くなった方)の預貯金口座は凍結されます。凍結されると入出金はもちろんのこと、自動引き落としもされなくなるため、水道光熱費をはじめいろいろな支払いが滞ってしまうこともあります。
また、葬式費用など、大きな出費を相続人の方がすぐに工面できれば問題ありませんが、被相続人の凍結された預貯金口座がメインの生活口座であった場合などは、支払いに困ってしまう方も少なからずいたのがこれまでの実情でした。葬式費用の他にも家賃の支払いやローン、借金の返済など比較的大きな出費はありますよね。
そんな不都合を解消するために始まったのが、この預貯金の仮払い制度です。しかも、相続人が複数いる場合でも、それぞれが単独で金融機関の窓口で出金することができます。(仮払いの制度自体は以前からも存在しましたが、単独ではできませんでしたし、家庭裁判所への申立てが必要など非常に煩雑で、手間と時間がかかってしまうものでした。)

出金できる上限額は?

次の①、②の“低い方”の金額です。
①死亡時の預貯金残高×法定相続分×3分の1
②150万円
※上記は「金融機関ごと」に適用されるので、複数の金融機関に口座がある場合は、それぞれの金融機関から出金が可能です。

具体例で見てみましょう

<前提>
・相続人は妻と子ども2人の計3人
・妻の法定相続分は2分の1、子どもの法定相続分は4分の1(1人あたり)
・A銀行に1,200万円、B銀行に300万円の預金残高がある

■妻の出金可能額上限
<A銀行>
①1,200万円×2分の1×3分の1=200万円
②150万円
⇒①、②の低い方なので150万円
<B銀行>
①300万円×2分の1×3分の1=50万円
②150万円
⇒①、②の低い方なので50万円

妻はA銀行とB銀行から合計で200万円を上限に出金することができます。

■子どもの出金可能額上限(1人あたり)
<A銀行>
①1,200万円×4分の1×3分の1=100万円
②150万円
⇒①,②の低い方なので100万円
<B銀行>
①300万円×4分の1×3分の1=25万円
②150万円
⇒①、②の低い方なので25万円

子ども(1人あたり)はA銀行とB銀行から合計で125万円を上限に出金することができます。

いかがでしょうか。
これだけの金額を出金することができればよほどのことがない限り、相続人が支払いに困ることもないのではないでしょうか。

注意すべきこと

相続人が単独で出金できるからといって、各自が我先にと、むやみやたらに出金すると以下のような問題、トラブルが発生しかねません。よく考えて計画的に活用しましょう。

・葬式費用や家賃・ローン等の支払い、相続人の(必要最低限の)生活費などに充てることを目的としていますので、それ以上の余分なお金を黙って持ったままにしていたり、自分の懐に入れたりすると、その分は相続したものとみなされることにもなり、相続税の課税対象となります。
・また、何のために使ったのかをきちんと把握し、残しておかないと、遺産分割協議の際に相続人の間でトラブルになったり、あらぬ疑いをかけられてしまうことが十分に考えられます。何に使ったのか、領収書や控えをきちんと保管しておきましょう。そして、出金したことは相続人の間で共有化しておきたいところです。仲が悪ければなかなかそうもいかないでしょうが…
・加えて、余計なお金を持ったままでいると、相続した(=単純承認)とみなされ、後日、大きな借金などの債務が発覚し、相続放棄をしたくてもできなくなってしまう恐れがあります。

以上をふまえ、適切に制度を活用するようにしていただければと思います。

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貞方 大輔

立命館大学卒業後、大手生保を経て、アレース・ファミリーオフィスへ入社。
取締役西日本支社長。
一般社団法人相続終活専門協会 代表理事

親の介護

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