第60回 死後の相続手続き、コロナでどう変わった?

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江幡 吉昭

2020-10-02

第60回 死後の相続手続き、コロナでどう変わった?

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今回は「コロナと相続」についての最終回(第3回)となります。


1.相続前の手続きはコロナでどう変わった?(前々回参照)
2.コロナにならずに入院して死亡した場合(前々回参照)
3.コロナになって死亡した場合は?(前回参照)
4.相続後の手続きはコロナでどう変わった?

1~3の話は第1回、第2回でお話ししましたが、コロナになるとかなりの不都合と、遺された家族に迷惑がかかることがお分かりいただけたかと思います。
今回は『4.相続後の手続きはコロナでどう変わった?』についてお話します。

4.コロナで大きく変わった「相続手続き」

死後の手続きは大きく変わっています。
まず一番大きな変化として相続税の申告・納税について、コロナが理由であれば期限の延長が認められています。通常は、亡くなってから10か月以内に相続税の申告・納税が必要です。しかし、税務署に事前に「コロナを理由に10か月という期限内に申告・納税ができない」旨を連絡すれば延長してもらえます。普段、滅多に納期限の延長を受け付けない相続税ですので、非常に大きな変化だと思います。(通常ならば、死因不明のDNA鑑定などで鑑定結果が出るまで数か月かかるような場合には納期限延長ができる程度です。)

逆に、コロナで混雑しているのが銀行。
例えば亡くなった方の相続手続きに銀行に行くと長期戦となります。特に故人の口座の残高証明書などを取ろうとすると、銀行に借り入れがあったり、担保に不動産が入っていたりする場合は原則来店を求められます。ところがその来店のアポがすぐには取れません。通常は『相続手続きをしたい旨の電話』→『銀行に来店するアポ取り』→『来店して相続手続き』となるのですが、銀行が混雑しているため来店できるのが2~3週間後。コロナで相続手続きの期限が延期できるからと言って、のんびりしていると銀行の相続手続きがボトルネックとなるのです。では、アポなしで銀行に行って相続手続きに応じてくれるか?というとそうでもなく、やっぱり突撃しても2~3週間後の指定の日時に再度、来店してくださいとなったりするのです。三密をさけるという意味でも来店アポは分散させる目的もあるのでしょう。

一方で、役所については自宅にパソコンとプリンターさえあれば、自宅にいながら相続手続きが可能です。役所のホームページに掲載されている戸籍謄本の取得書類を印刷→郵便小為替(郵便局に行く必要はありますが)や返信用封筒を同封して、郵送で戸籍や住民票等の書類収集手続きができるのです。

最後にSkypeやZOOM等のテレビ電話機能は広く使われるようになりました。しかし相続手続きはそうもいきません。現在は銀行で『口座保有者の死亡届け出』で使われている程度です。それも銀行に行って、支店でテレビ電話を使って銀行本部の相続担当者の行員と話す程度であり、自宅でZOOMを使えるわけではないのです。そういう点ではコロナで外出をしたくない方が増えていますが、銀行の手続きに関しては『そうもいかない状況』とお考えください。当然、今後のDX化(デジタルトランスフォーメーション)でこういったことも改善されて、すべて自宅でできるようにはなるのでしょうが、まだ先の話と言えそうです。

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江幡 吉昭

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