第3回 遺言執行者

第3回 遺言執行者

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前回は、遺言の取り消し・撤回についてお話をさせていただきました。
今回は遺言の執行のお話ですが、その中から「遺言執行者」についてお話しします。

まず、「遺言の執行」と聞くと、皆さんは相続人(受遺者)だけが行うものと思われていませんか?
実はそうではありません。たとえば、大家族のように相続人がたくさんいて、相続人間の利益が相反するような遺言があった場合には、その相続人の中の一人に遺言の執行を任せたのでは感情が対立したり、公正に執行されなかったりする可能性もありますよね。そうなると、被相続人がせっかく残した最後の意思表示である遺言の内容がスムーズに実現しません。被相続人が相続トラブルを望んでるわけもありません。

そこで登場するのが「遺言執行者」です。お聞きになったことありますか?遺言執行者は遺言者(被相続人)にかわってその遺言書の内容の実現に向けて動く人物のことで、相続人全員の代わりに遺言の内容を実現できる者をいいます。

遺言執行者はどんな役割を担うのでしょうか?具体的な役割は以下の通りです。
①相続人・受遺者へ遺言執行者に就任した旨の通知する(遺言書の写しを添付)
②財産目録を作成し、相続人・受贈者へ交付する
③受贈者に対して遺贈を受けるか確かめる
④遺言による認知がある場合、市町村役場に戸籍の届け出る
⑤相続人を廃除する遺言があった場合、家庭裁判所に廃除の申し立てをする
⑥不動産がある場合は、不動産登記手続き。(登記申請はできないため、司法書士との窓口になる)
⑦遺言通りに受遺者へ財産の引き渡し・名義変更・分配を行う
⑧相続財産の管理、その他遺言の執行に必要な一切の行為をして遺言を実現する

大きな責任を担う仕事ですよね。では、この遺言執行者は誰がなるのでしょうか?多くの場合は遺言執行者は遺言で指定されるのですが、遺言執行者の指定がない場合は家庭裁判所に選任をしてもらうことができます。
と、ここまで読んでいただき「なるほど、この遺言執行者は難しそうだからきっと弁護士とか法律の専門家だけがなれる立場なんだろうな」と思われたのではないでしょうか?
実は、遺言執行者は「未成年者」と「破産者」以外であれば誰でもなれます。個人でも法人(信託銀行など)でも、一人でも複数でも可能です。
相続人や受遺者でもあってもよいとされていますが、やっぱり利害関係者が遺言執行者になると、他の相続人ともめることもありますよね。ですので、このようなトラブルを避けるために被相続人が遺言を作成するときは、法定相続人以外の第三者的な立場の人(相続について利害を持っていない人)の中から遺言執行者を指定することが多いです。

遺言執行者は相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務があります(民法1022条1項)。そのため、遺言執行者が選任されているときは、遺言執行者以外の相続人は執行を妨げる行為を禁止されており、そういった行為を行ったとしても無効となります(民法1013条)。

<事例>

被相続人Aが死亡し、相続人は妻Xと子Yである。Aは自筆証書遺言を残していて、「自分の遺産のうち甲賃貸マンションは甥Bに譲る。そして、この遺言の執行についてはEに委任する」と記されていた。A死亡後に、Eは直ちに遺言執行者としての職務に着手しようとしたが、甲建物についての権利証を握っていたWとYは、自分たちへの所有権移転登記をしたうえで、これをKに売却した。

このような事例の場合、民法1013条によりこれらの行為は無効となります。

さて、遺言執行者はボランティア(無償)なのか?という疑問にお答えします。
遺言執行者の報酬は、遺言で定めることができます。相続人と執行者で決めることもできます。家庭裁判所が相続財産の状況やその他の事情を考慮して定めることもできます。つまり有償なのです。もちろん、無償でも問題ありませんが、弁護士や税理士といった専門家の場合は報酬が必要です。
気になるお値段ですが、遺言執行者を信託銀行や弁護士、税理士、司法書士にした場合の費用はまちまちですが、一般的に信託銀行は最低報酬が100万円~、弁護士は20万円~100万円、税理士・司法書士は30万円~としているところが多いようです。またそれぞれ相続財産の1%~3%で設定しているところもあります。
なかなか高額ではありますが、被相続人の最後の意思表示をしっかりと実現させるためのものですから、これを高いとみるか安いとみるかは判断が出来ませんね。

相続人から「遺言に遺言執行者の記載があれば良かったのに」と聞くことも多々あります。この遺言執行者は「求められている役割」なのです。
わざわざ遺言に遺言執行者を指定するということは、被相続人自身が相続に関してなにか問題が起きることを予見しているから、と考えることも出来ます。もしかすると遺言の内容が相続人に対して不利な内容なのかもしれません。中には相続人が一人もいない、というケースもあります。そのような中で指定された遺言執行者は、被相続人が最後に信頼を寄せた人物、ということも言えます。被相続人がその家族(相続人)を守るために示した最後の意思表示を託されるような人物、となると相応の人間関係と対応力を認められた結果なのだと思います。被相続人の最後の願いを託されるような人材になれたらいいですよね。 

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