予定利率は引き下げ
今年に入ってから日本の代表的金利である10年物国債の利率がマイナスに沈んでします。
結論から言うと早晩、各生保は円建ての貯蓄性商品(終身保険や養老保険)の予定利率を下げざるを得ないのではないかと考えています。
理由は、冒頭の通り世界的な金利の低下です。
今年7月からアメリカのFRB(アメリカの中央銀行とお考え下さい)が3回にわたり、FFレート(政策金利とお考え下さい)を0.25%ずつ、合計0.75%利下げをしています。それに伴い、世の中の金利にも低下圧力がかかっています。日本も中央銀行が緩和政策を維持しており、日本の金利も以下の図のように代表的な指標である日本国債10年物の利回りが現在―0.08%とマイナス金利となっています。
日本の保険会社はお客様から預かった保険料を国債や株式など様々な商品で運用しているわけですが、最も堅実といえるその国の国債の代表である日本の長期債がこのようにマイナスになってしまうと、保険会社としても高い予定利率を保証することは厳しくなります。
2016年のデジャヴ
例えば多くの保険会社の円建ての終身保険の予定利率は0.5%程度だと思われますが、実際お客さまの保険料は日本国債だけで運用した場合、0.5%で運用できません(予定利率イコール運用利率ではありませんが。)
よって、掲題の通り、近いうちに円建ての貯蓄性商品の予定利率は下げざるを得ないということなのです。
実際下のチャートを見ると日本国債の10年物がマイナスになったのは過去2回あります。2016年初頭と現在です。ちょうど2016年の時(下図の青点線枠)も円建ての終身保険などの貯蓄性商品が一時売り止めになった記憶もあると思います。現在もそれと同じ状況に陥っており、円建ての商品を売れば売るほど運用方法によっては逆ザヤとなり、保険会社にとってのマイナスが広がることになるのです。よって早晩掲題のように予定利率は下げざるを得ないと考えているのです。もっとも、過去、保険会社は「●月●日から予定利率を引き下げます」と事前にアナウンスしますので、我々消費者としてはすごく焦る話ではありませんが、今貯蓄性商品に加入すること自体は悪くない選択でしょう。
ちなみに貯蓄性商品の多くは加入時の予定利率が保険期間中ずっと適用されます。よって予定利率が高いときに入ったほうが得ですし、予定利率が低いときに入ったら、たとえ保険期間中に世の中の金利が上昇しても、そのメリットは受けられない商品がほとんどとなっています。よって予定利率が高いときに加入したほうが得だと思います。
死亡保険金の非課税枠の有効活用を
1980年代の日本はとんでもなく高い予定利率の商品(その分政策金利も高かった)だったので、払い込んだ保険料の倍以上になるような商品がありました。それを知っていると今の予定利率はどうにも低いですが、このままマイナス金利が続くと考えるのであれば今加入することは「マシ」だと思います。死亡保険金の非課税枠(500万円×法定相続人数)もありますしたとえ保険が嫌いな人でも非課税枠分の終身保険は今のうち準備しておくのも大切でしょう。