第58回 父親が心筋梗塞に…(やっぱり遺言や終活はお早めに)

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貞方 大輔

2023-03-20

第58回  父親が心筋梗塞に…(やっぱり遺言や終活はお早めに)

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私は、福岡県福岡市出身で、毎月福岡に帰省しています。
実家には70歳の両親が暮らしていますが、今月(令和5年3月)帰省した際にこんなこと
がありました。

母親が「ちょっと来て!」と、何やらパニック状態で私のことを呼びます。

「お父さんが苦しそうなの!」

行くと、父親が横たわって「胸や背中が痛い…」と苦しんでいます。

「救急車呼ぶ?」と私。

「よかよか(大丈夫)、お前は仕事に行け」と父。

でも、相当痛むらしく「やっぱり救急車を頼む…」と言います。
母親は「あんた(私)が電話して!」と言います。

すぐに救急車を手配しました。
幸いにもすぐに救急車が来てくれて、受け入れ先として近所の病院も見つかり、搬送されていきました。

人の“死”(=相続)というものに毎日関わっている仕事をしているせいか、妙に冷静な自分がいましたが。

診断の結果、心筋梗塞。
心臓の大事な血管が詰まっていて、早い発見、処置が奏功し、命は助かりましたが、
「遅れていたら危なかったでしょう。」と医師から聞きました。

「母も私もたまたま家にいてよかったな。運が良かったんだな。」と思いましたが、
当の本人は術後、集中治療室からリモートで話ができたのですが、
ケロッとして「生き返ったぞー!」なんて冗談を言います。
散々心配したこともあって、母は「鼻のチューブを引っこ抜いてやろうか」と思ったそうですが、
血管のつまりが取れさえすればここまで元気になるものなのかと驚きました。
あとは、やはり早期の発見、処置がとても重要だということを痛感しました。

まぁ、大事には至らずやれやれといったところです。
母親は「もうお酒もタバコも一切禁止!」とプリプリしています。笑

さて、そんな父親も「遺言を作らないとな~」と言ってかれこれもう5年になります。
「70歳になったら作る」と豪語していましたが、一切そんな素振りも見せず、今回の心筋梗塞。

「俺もお袋も家にいなかったら死んでたんだぞ」と思いつつ、
退院後、私は父親に再度遺言の作成を勧めるつもりでいます。

私はまさに遺言や相続の仕事をしていますし、家族の関係も良好、父親の財産を巡って争う
ことも困ることもないと思っていますが、実際に相続が発生すると、
どんなことが待ち受けているかなんて分かりません。

遺産や相続手続きを巡って、親子間やきょうだい間で揉めに揉める場面を嫌というほど
見てきています。
私には妹と弟がいますが、親の死後、何を言われるかなんて分かりません。
私が一方的に仲が良いと思っているだけかもしれませんし…(きょうだいは他人のはじまり)

ましてや、田舎ながらにも父は自宅をはじめ、いくつか不動産を所有しているため、
それらの財産を誰がどのように相続するのか、父や私の思いとは裏腹に、
きょうだいで揉める可能性もゼロではないのです。

これまでも、遺言を作ろうとして、結局作れないまま他界される方々をたくさん見てきました。
案の定、遺言がないばかりに配偶者、子、きょうだい間で争い(争う族)に発展することが
多々あります。

相続争い(争う族)は、遺産分割協議といって、亡くなった人の財産を誰が、どのように
相続するのかの話し合いの中で勃発します。

遺言があれば、基本的には遺言のとおりに遺産を分割することになりますので、
遺産分割協議の必要もないので争いに発展しない、あるいは争いになったとしても決着を
迎えることがほとんどです。

やはり、遺言は相続対策の王道なのです。

“いつか作ろう”
“我が家は大丈夫”

そのように思っていらっしゃる方も大勢いますが、今回、まさに身に染みて
「人はいつ、何が起こるか分からない」ということを実感しました。

手遅れになったり、後悔することがないように、
特に遺言作成をはじめ諸々の終活(相続対策)は早いうちから実践していただきたいと思います。

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貞方 大輔

立命館大学卒業後、大手生保を経て、アレース・ファミリーオフィスへ入社。
一般社団法人相続終活専門協会 代表理事

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