第12回 寄与分(1)

第12回 寄与分(1)

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年末や年始に親族で集まった方も多いと思います。そんな時に「争族」にはなりませんでしたか?・・・などと聞いてしまうと怒られるかもしれませんが、『故郷で親の介護をしている弟と、独立する時に親から多額の贈与を受け、それでも年に数回しか帰省してこない兄』が顔を合わせたらどんな会話になるでしょうか?相続開始前から争族の火種が生まれてしまう・・・なんてこともあり得ない話ではありませんよね。このような場合に、知っているか知らないかによって大きく変わってくるのが「特別受益」と「寄与分」という制度です。
そのうち「特別受益」については前回お話しました。おさらいをすると「特別受益」とは共同相続人間の公平性を保つため、被相続人の生前に多額の贈与などを受けていた場合などに、その分を法定相続分から差し引く、というものでした。今回は「被相続人の財産の維持・または増加に寄与した場合」に考慮される「寄与分」のお話です。

今回はまず寄与分を規定している「民法904条の2」の条文を読んでみましょう。

共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、(中略)規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。

簡単に言いますと、「被相続人に対して「療養看護」「労務提供」「財産給付」などに寄与した相続人には、その寄与分を特別に相続財産として与える」ということになります。例えば以下のようなパターンです。

<療養看護>90歳のAには、子X、子Y、子Zがいる。このうち、Xは、YとZが面倒を見ようとしない認知症を患ったAを介護し、入退院や日常の世話を続けてきた。その後にAは死亡した。

<労務提供>農業を営んでいる80歳のAには、子X、子Y、子Zがいる。このうち、Xは、Aを助けるため農作業に従事し、農地の維持と経営の拡張に貢献してきた。その後にAは死亡した。

つまり、寄与分とは財産の維持・増加に寄与した者については、「その維持・増加した部分が与えられるべき」ということと、「寄与の事実を考慮しないと他の共同相続人との公平性が保てない」ということに対応するために制度化されたものなのですね。
ただ、ここで実務上問題が出てくるんです。法律というものの難しい部分なのですが、寄与分は「“実際に”財産の維持・増加についての寄与でなければならない」ということです。どれだけ被相続人がその人を頼りにしていたとしていても、単なる精神的な支えになっているだけでは寄与分の対象にならない、ということです。
さらに法律の難しい部分がもう1つ。「寄与分が認められるのは相続人でなければならないこと」です。次のようなパターンは、もしかしたら皆さんも当てはまるかもしれません。

農業を営んでいる高齢のAには、子X、子Y、子Zがいる。このうち、Xは妻Mと婚姻し、子Sをもうけ、Aと同居している。Aが寝たきりとなり、Xもまた病弱で農作業が出来なかったため、MとSがXを助けて15年にもわたり率先して農作業に従事し、農地の維持と経営の拡張に貢献してきた。

このような場合、義理の父や義理の母の介護にどれだけの尽力をしてきても、妻Mと子Sは相続人ではないので、法律上は寄与分は考慮されないんです・・・。えっ?どうして?と思われる方もいらっしゃるかなと思います。ただ、これはあくまで法律の条文上の話であり、実際は「相続人の補助者」として考慮され、相続人の寄与分として評価する、という判例もたくさんあるようですので、詳しくは専門家に聞いていただければと思います。

被相続人としては、終活などで寄与分の評価の難しさを理解できていれば、後に起きるかもしれない争族を避けるために、例えば予め「遺言」という形で特別の寄与に関して感謝の意を残しておくなど、本当にお世話になった方への恩返しが自らの意思で出来るかもしれませんね。



今回は寄与分の考え方についてのお話でした。次回は寄与分の計算方法や決定方法についてお話します。

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