最近、不動産小口化商品について質問されることが多く、今回はこの商品について触れてみたいと思います。
1.不動産小口化商品とは
通常、ビルやマンションを区分所有するとき、●●号室を所有します。しかしこのような商品はビルなどを建てて、全体の権利を細分化し口数単位で所有するものです。一口500万円とか1000万円で購入することができ、ビルなどから得られる収入やキャピタルゲインを口数に応じて分配します。根拠法は不動産特定共同事業法や信託法によります。
2.不動産投資信託(J-REIT)と何が違う?
リートは、金融商品であるため不動産の評価方法が適用されませんが、不動産小口化商品は現物不動産と同じ評価になるため、相続税評価が現金よりも減額されるため、税金対策になるということが投資家にとっての最大の違いです。
3.メリットデメリット
不動産小口化商品のメリットの第一は、そのほとんどが都心の一等地ビルを建設して小口化するため現物不動産に投資するよりも遥かに投資金額が少なくて済むことです。通常都心の一等地にビルを建てるには何十億もしますが、小口化商品は数百万円から投資可能となります。
第二に不動産経営は維持管理に手間がかかりますが、通常は組合型なので事業者側に丸投げすることが出来るので、ラクチンです。
第三に「任意組合型」の場合、所有者に相続が発生した時に不動産としての評価減メリットを得られます。つまり、現物不動産と同じく、不動産収入を得ながら、相続税における評価減の特例(貸家評価、貸家建付地評価、小規模宅地等の特例など)が使えるため、現預金で寝かせているよりも相続財産の圧縮効果が見込めるというわけです。多くの案件で70%程度の圧縮効果があるので、相続税対策という目的で購入される方が多いでしょう。
一方、デメリットは、株式などの有価証券と比べて流動性が低いので、売りたいときに売れないという流動性リスクがあります。とはいえ、これらの商品は低金利環境の中、利回りと相続税対策になる為、最近では出口もきちんとあるとされています。
第二は小口化して更に管理も事業者に投げるため、利回りとしては2%~となっており、現物不動産に比べて半分程度の利回りとなってしまいます。
第三は小規模宅地の特例も適用できる商品ではありますが、この制度自体、適用面積に上限があるので注意が必要です。不動産小口化商品は『貸付事業用宅地等』。一方、自宅に小規模宅地の特例(特定居住用宅地等)を適用した方が節税効果が高くなるケースがあるため、購入時に『専門家に小規模宅地の特例に関して自宅と不動産小口化商品どちらが得か』を検討する必要があります。
4.どのような方が購入を検討すべきか
日本の不動産市場に関して強気であり、不動産管理の手間が嫌い、億単位の現物不動産投資に躊躇される方、そして相続対策が必要な方は一考に値するのではないでしょうか。一方で、利回り重視の方や相続対策が必要でない方、不動産市場に関してネガティブな方は検討すべきではないと思います。