第21回 法定相続情報証明制度(法定相続情報一覧図)ご存じですか?(前半)

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貞方 大輔

2021-05-28

第21回 法定相続情報証明制度(法定相続情報一覧図)ご存じですか?(前半)

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法定相続情報証明制度とは

法定相続情報証明制度とは、被相続人と相続人の相続関係を法務局(登記官)が認証する制度です。法務局で交付される『法定相続情報一覧図の写し』を使えば、相続登記(=不動産の名義変更)や預貯金口座の解約など、相続財産の名義変更や解約といった相続の手続きでわざわざ戸籍謄本の束をその都度提出する必要がなくなります。被相続人の死亡に起因する年金の手続き等(例:遺族年金、未支給年金の請求)でも身分関係を証明するものとして法定相続情報一覧図の写しが使えるようになっています。
(補足)
生命保険の死亡保険金請求の際にも使えるケースがあります。
死亡保険金受取人が指定されておらず、「法定相続人」となっている場合は、本来なら戸籍謄本の束が必要ですが、法定相続情報一覧図の写しがあれば、代用することができます。(各保険会社の事務取扱いによります。)

この制度ができた背景

法定相続情報証明制度は、平成29年5月29日から始まった比較的新しい制度です。
この制度ができた背景の一つに相続登記の促進が挙げられます。不動産を相続したら、被相続人から相続人へと所有者の名義を変更する相続登記を行う必要があります。しかし、今のところ相続登記には期限や罰則がなく、相続登記が未了のまま長年にわたり放置されているなど、所有者不明の土地、空き家問題の大きな要因になっているのが現状です。
相続登記はもちろん、被相続人名義の預貯金口座の解約といった手続きを行うには、被相続人と相続人の相続関係を確定させるために、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本や相続人全員の戸籍謄本をまず集めなければなりません。
相続人が少なく、相続人同士すぐに連絡が取れるような場合はそれほど負担になることはないでしょう。一方で、相続登記を何十年も放置し、相続権が孫やひ孫に及ぶなど相続人の数が非常に増えてしまっている場合や、離婚・再婚によって相続関係が複雑になっている場合は集めなければならない戸籍謄本も膨大になり、どっさり束になってしまうこともあります。さらに、相続人の間でまったくの音信不通になっている場合はすべて集め終わるのに時間と労力(気も使う…)も相当かかってしまうことでしょう。
そんな戸籍謄本の束を相続手続きの都度、提出しなければならず、もし足りなくなった場合はまた集め直す必要があるなど、非常に大きな負担にもなっていました。
こういった問題や負担を解消(簡素化)すべく、法定相続情報証明制度が始まりました。

制度を利用するための手続きの流れ

法定相続情報証明制度を利用するためには、まずは自分たちで戸籍謄本を収集して、法定相続情報一覧図を作成し、法務局に申し出(提出)しなければなりません。単に法務局に戸籍謄本を提出すれば法定相続情報一覧図の写しが発行されるわけではありません。

ステップ① 戸籍謄本など必要書類を集める

相続関係を証明するために次の書類を集めます。※実費は自己負担です。

a.被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、除籍謄本

ご存じのとおり、被相続人の戸籍謄本は、本籍地の役所で取得できます。ただし、結婚や転籍などで本籍地を移動している場合は、過去の本籍地の役所からも取り寄せる必要があります。出生から死亡までの連続したものでなければならないので、結婚や改製(データ化)により一部が抜けていることや、そもそも被相続人の本籍地がどこだったか分からないということもよくあります。意外と大変だったりします。

b.被相続人の住民票の除票

法定相続情報一覧図には被相続人の最後の住所を記載するため、被相続人の住民票の除票が必要です。被相続人の最後の住所地の役所で取得します。

c.相続人全員の戸籍謄本

相続人を確定させるために、相続発生時点における相続人全員の戸籍謄本(または抄本)が必要です。ただし、被相続人と同じ戸籍(配偶者や未婚の子など)で、上記aの戸籍謄本で確認できれば、別途取得する必要はありません。

d.相続人全員の住民票

法定相続情報一覧図に任意で相続人の住所を記載することができます。記載する場合に必要になります。法定相続情報一覧図に相続人の住所が記載されている場合は、相続手続きの際に住民票の提出が不要になることもあるため、住所を記載しておくと便利です。

ステップ② 法定相続情報一覧図を作成する

ステップ①で集めた戸籍謄本をもとに、法務局に提出するための法定相続情報一覧図を作成します。図式でもいいですし、被相続人及び相続人を列挙する記載方法でも構いません。
また、エクセルなどで作成するのが一般的ですが、はっきり読めるように書いてあれば自筆でも問題ありません。整理しながら分かりやすく作成しましょう。
法務局ではダウンロードして利用できるテンプレート(エクセル)も用意しています。相続人が配偶者と子の場合や、配偶者と兄弟姉妹の場合、代襲相続が生じている場合など様々なパターンのテンプレートがあるため、最も当てはまるものを選んで作成するのもオススメです。

ステップ③ 法務局へ申し出(提出)する ※費用はかかりません

a.申出書を準備する

申出書には、被相続人及び申出人の氏名や住所のほか、不動産を相続する場合はその所在地等を記入します。また、交付を受ける法定相続情報一覧図の写しの必要枚数や受け取り方法も申出書に記入します。申出書の様式と記入例は法務局のホームページからダウンロードできます。

b.必要書類を提出する

自分で申し出する際の基本的な必要書類は以下のとおりです。
①作成した法定相続情報一覧図
②申出書
③法定相続情報一覧図作成の元にした戸籍謄本等一式(後日返却されます)
④本人確認書類(運転免許証のコピー等)
※代理人に申し出してもらう場合には、上記のほかに必要な書類があります。

c.申し出できる所管の法務局

次のいずれかを所管する法務局に申し出することができます。
①被相続人の本籍地(亡くなった時点の本籍)
②被相続人の最後の住所地
③申出人の住所地
④被相続人名義の不動産の所在地(複数あれば、そのうちのいずれかで可)

なお、法定相続情報一覧図の写しの交付を受けることができるのは“申し出を行った法務局のみ”なので、申出人が最も利用しやすい法務局を選ぶようにしましょう。

ステップ④ 法定相続情報一覧図の写しの交付 ※費用はかかりません

上記のとおり、法定相続情報一覧図の写しは、申し出した法務局で受け取ることができます。
法務局の混雑具合にもよりますが、申し出から交付までは1~2週間ほどかかります。
ちなみに、郵送で申し出を行うことも可能です。郵送で戸籍謄本の束の返却と法定相続情報一覧図の写しの交付を受ける場合は、その旨を申出書に記入して、返信用封筒と切手を同封して申し出する法務局に送付します。返却される戸籍謄本の束と交付を受ける法定相続情報一覧図の写しの重さを考慮して、返送の郵便料金に不足が発生しないように気を付けてください。
また、司法書士や行政書士、弁護士、税理士などの専門家に依頼することも可能です。報酬はかかりますが、上記①~④のステップをすべてやってくれるので、依頼するのも選択肢の一つです。

次回は、後半として法定相続情報証明制度のメリットとデメリットをご紹介します。

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貞方 大輔

立命館大学卒業後、大手生保を経て、アレース・ファミリーオフィスへ入社。
一般社団法人相続終活専門協会 代表理事

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