第3回 認知症は病識(病気の認識)がない疾患です

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佐藤 俊彦

2018-07-30

第3回 認知症は病識(病気の認識)がない疾患です

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猛暑が続いています。そういえば、高齢者の以下のような悲しい事故が過去にありました。ここで少し紹介します。
祖母が孫を幼稚園に送るため自ら運転して、 自宅を出ましたが途中で孫を幼稚園に降ろすことを忘れ30分後に帰宅。そして、次に祖母が外出しようとした際、後部座席でチャイルドシートに放置されぐったりした孫に気づいたというものでした。この間5時間・・・。女性は警察に「孫を車に乗せたことを忘れた」と語ったと昨年8月の新聞記事にありました。この女性ですが事故当時の年齢は67歳でした。
このようなニュースもありました。万引きを繰り返すクレプトマニア(盗癖)と思われていた女性は実は前頭側頭型認知症が原因だったというものです。このタイプの認知症は30代から症状が出るとも言われており、初期には記憶の問題はほとんど見られません。また、性格や社会的行動に変化が現れかつ女性に多いことから更年期症状などと長期間見逃されることも珍しくありません。
一方で私はよく、皆さんから幾つになれば認知症の検査を受けたらいいですか?とか未だ認知症の心配はしなくていいですか?などと聞かれます。私は若年性アルツハイマーの方や同じく若年性認知症であるピック病(性格の変化や理解不能な行動を特徴とする病気、原因不明)の患者を診てきました。彼らは働き盛りと言われる40代から50代で発症し進行は極めて早い。そしてこれらの疾患を正しく診断できる医師は少なく、また症状が精神疾患に類似したように見えることから家族が精神科の医師に相談することもあり、うつ病や統合失調症と診断されることが少なくありません。そして診断名が誤っているのですから治療をしてももちろん良くなることはありません。では、どうすればよいのか。それは健康な時にこそ検診を受けておくということです。健常時のあなたの脳PETの画像があれば、仮にあなたが上記のような疾患に罹ったとしても比較読影(過去画像との比較)することができ、早期に診断され専門医の受診が可能になることでしょう。特に認知症は病識がない疾患です。認知症の人がわたしは認知症ですとは言わないでしょう。だからこそ検診や予防への対策が必要なのです。本サイトをご覧の皆さんは、わたしは認知症ではない。認知症にはならないなどという根拠のない過信はやめて適切な検査と正しい診断を受けましょう。
あなたが託そうとしている遺言書で家族が相続争いを起こし、あなたの遺言作成時における意思能力を問われるのは本意ではないでしょうから・・・
  

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