第1回 認知症は相続問題にも関わります

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佐藤 俊彦

2018-04-23

第1回 認知症は相続問題にも関わります

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認知症という言葉を皆さんはどう思いますか?高齢化社会では致し方ない疾患と思いますか。それとも逆らいたいですか。それとも経済、介護保険、年金制度などに不安を感じますか・・・。

 総務省は2017年10月1日現在の総人口は1億2670万6千人と発表しました。これは7年連続の減少で一方では、総人口に占める65歳以上の高齢者の割合は過去最高の27.7%に至ります。急激な人口減少と高齢化の中で、生産年齢人口は、2030年にかけて減少が加速し2015年で7629万人。一方で財務省が発表した直近の国の借金は1085兆7537億円で国民一人当たり858万円の借金が重くのしかかっており、これ以上、社会保障費を含めた費用を国民へ捻出できるような国内情勢ではないことが分かります。

 このような中で我々は世代を問わず自分をプロテクトすることが必要であるし、特に、老いるということについては考え直す機会だと思います。

 では、個々のライフステージを見直すにあたり、エリクソンが1977年に発表したライフサイクル論を紹介します。彼は、乳児期からはじまって老年期までの間を8段階の「期」で分類しています。そこで老年期については、今までの人生を振り返りどうであったのか、やり残していることはないかなどの自我の結合を図る期とし、それが満足な結果に至らないような場合には絶望という局面を迎えるのだとしています。社会の中における終活というものもこれらを肯定する行動ではないでしょうか。

 昨今、高齢者ドライバーによる交通事故、万引きなど高齢者に纏わる事柄が常々ニュースになっています。このようなデータがあります。認知症、もしくはその疑いでの行方不明者数15400人・・・あなたは認知症にも、認知症患者による影響も受けたくないと思うでしょう。そしてもはや行政では認知症はコントロール出来ないことは明らかです。

 ところで、わたしが顧問をしているメディカルリサーチは、医療調査会社をやっています。ここ数年、こちらにも認知症問題の依頼が増えています。それは相続問題です。

 相続問題は財産が多いから起きる訳ではありません。数千万円でももちろんあります。むしろ5000万円以下の争いは全体の75%に及ぶというデータもあるほどです。そしてその争族の対象者はほぼ兄弟などの血縁関係者でまさに骨肉の争いになる訳です。父があるいは母が遺言を作成した時点でそれを理解して決められるほどの能力を有していたかどうかが必ず争点となるのですが、これを法律用語では意思能力といいいます。要は、遺言の有効、無効の訴えに対して、遺言作成者の当時の意思能力の判断をするということで、我々はこれを意思能力鑑定とよんでいます。この人間の判断に医療という科学のメスを入れる取り組みは、現在の終活というテーマで昨年、ワールドビジネスサテライトにも取り上げられました。

 大切な家族のためにと作成した遺言書が家族間の争いの火種になるとはなんとも不幸な話です。遺言書には、直筆遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言と3種類があります。その中でも公正証書遺言は、公証人が作成したものを本人が署名することになっています。ここでみなさまはお気づきですね。そうです。公証役場や認知症を見極める機関ではありません。署名ができれば遺言書として認められる訳です。そして、公証役場に同席することの多い弁護士の先生方も同様です。法律の専門家ではあるものの、認知や意思能力の程度を測り知ることは非常に困難です。
 では、次回はどうやってこの意思能力を鑑定しているのかを紹介していきます。。 

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