第6回 相続で争点となる「特別受益」

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田中 誠

2018-06-25

第6回 相続で争点となる「特別受益」

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相続で争点となる「特別受益」 

特別受益とは

時として、争う族の原因となるもののひとつに特別受益があります。特別受益とはなんでしょうか?
相続人のなかに、
・被相続人から生前に贈与を受けていた
・相続開始後に遺贈を受けた
このような人がいた場合、その特別に得た利益のことです。
特別利益を受けた人が共同相続人の中にいる場合、法定相続分通りに相続分を計算すると、不公平な相続になってしまいます。
そこで民法では、共同相続人の公平を図ることを目的として、特別受益(贈与や遺贈)を相続財産に持ち戻して計算し、各相続人の相続分を算定することにしています。
 では、どのような場合に特別受益が認められるのでしょうか。  

特別受益の対象となるもの

1.遺贈を受けた。(遺言によって遺産が与えられたことを指します)
2.被相続人の生前に結婚や養子縁組のために財産の贈与を受けた。
3.住宅資金など、生計のために贈与を受けた。

(1)これらの場合は、被相続人が死亡時に持っていた財産に、生前もらった財産を加え(持ち戻し、といいます)、その合計額を相続財産と仮定し、これをもとにして、各相続人の相続分を計算します。

(2)この利益を受けた者(特別受益者)の相続分は、上記の相続財産の自己の相続分から、上記1、2、3、の財産を差し引いた残額が、特別受益者の相続分となります。

(3)もし、(2)で計算した自己の相続分より特別受益の額が多いときは、特別受益者の相続分は0となり、特別受益を受けているので、相続分は受け取れません。

(4)但し、被相続人が、「特別受益者に与えた、特別受益は別にして、残った財産を相続分により相続させる」といったような、「持ち戻し」とは異なる意思表示をしたときは(持ち戻し免除の意思表示)、各相続人の遺留分を侵害しない範囲で有効となり、相続分も受け取ることができます。

 特別受益の対象になる財産の種類は、現金、預貯金、投資信託、株式、債券、不動産、ゴルフ会員権、自動車などがあります。
これらに対し、生命保険金の受取については、原則として特別受益と評価されません。 
 

特別受益の相続税

 相続税法では、相続開始前3年以内に被相続人から贈与によって取得した財産が課税対象となります。よって、相続開始前3年以内に贈与された特別受益のみが相続財産に加算(持ち戻し)され、財産全体に課税されます。
 ただし、相続開始前3年以内の贈与財産であっても、被相続人から相続、遺贈により財産を取得しなかった場合(例えば、孫やひ孫への相続開始前3年以内の贈与)は、相続税の課税対象外となります。
 また、相続税算出時の持ち戻す財産の評価額は、「贈与時の評価」になります。民法の場合は相続開始時の時価にて遺産分割が行われるため、相続税法とは評価方法が大きく異なります、民法上の遺産分割と相続税法上の相続税の算出はしっかり分けて考えましょう。 
 

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税理士

株式会社タクトコンサルティング入社
税理士法人タクトコンサルティング代表社員就任
平成23年 税理士法人エクラコンサルティング/株式会社エクラコンサルティングを設立
~現在に至る

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