第46回 外貨建て保険について

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江幡 吉昭

2020-03-10

第46回 外貨建て保険について

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新型コロナウイルスで外貨建て保険に影響が

1月下旬に中国武漢から端を発した新型コロナウイルスが株式市場や為替市場、そして原油市場などを大混乱に陥れていますが、どうやら保険業界にも飛び火しそうな勢いです。

保険業界のどこに飛び火するかといいますと、最も影響を受けるのが外貨建て(以下すべて、米ドル建ての保険を指します)の保険ではないかと思います。現在、外貨建て保険を扱っている会社の多くは予定利率が1.7%前後となっています。(終身保険か養老保険かで微妙に予定利率は異なりますが)

今回の大暴落で、米長期金利が大きく下落(債券価格は上昇)していますが、現在の米10年債利回りが0.6%台、米30年債が1%となっています。これは非常に保険会社にとっては危機的状況です。と言いますのは、保険会社はお客様から預かった米ドルの保険料を一般的には米国債で運用します。理由は、世界で一番信用力のある国の債券だからです。

そして、保険契約は当然長期に及ぶため、米国債の10年債や30年債で運用することが多いです。しかしその運用先の金利が予定利率よりもはるかに下回っているという状況になったわけです。昔、日本でも騒がれた保険会社がお客様に約束した予定利率よりも運用利回りの方が低いという所謂「逆ザヤ」という事態になっているわけです。保険会社にとっては保険料が集まれば集まるほど損をするわけなので、この予定利率が近日中に下げられることはほぼ間違いないことだと思います。(厳密には予定利率が単純に運用利回りではありませんのでご注意ください)

保険会社の多くは予定利率を月に2回見直します。一般的には毎月、1日と16日に予定利率が改訂されます。ということは16日以降の契約で適用される予定利率は上記金利低下の影響を間違いなく受けると言えるでしょう。現在が1.7%前後なので1.00%程度までは下落は避けられないでしょう。また、予定利率の定期的な変更がない保険会社も僅かですが、あります。しかし、これも近日中に予定利率の低下は避けられないでしょう。ということは顧客側からすると早く外貨建て保険に入ったほうがトクと言えると思います。また外貨建て保険の多くが、加入時の予定利率が保険期間中ずっと適用されるものですので、予定利率が高いうちに加入しておけば、加入後に下がっても既契約は影響を受けないという特徴があります。

米国の中央銀行であるFRBはすでに政策金利であるFFレートを1.00~1.25%へ引き下げています。アメリカをはじめとする各国が新型コロナウイルスの影響で景気後退に陥れば、当然中央銀行は更なる利下げを行うことが考えられます。そうなった場合、円建ての貯蓄性の保険商品もすでに0.2%などの予定利率になっていますが、米ドル建てもそんなほぼ「予定利率ゼロ」という状態が来るかもしれません。いずれにせよ新型コロナウイルスを引き金として世界が景気後退に陥るか否かによると思います。高い予定利率のうちに加入すべきかと思っています。
 

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