第41回 予備的遺言~受遺者が先に亡くなった場合に備える~

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貞方 大輔

2022-03-18

第41回 予備的遺言~受遺者が先に亡くなった場合に備える~

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受遺者が先に亡くなった場合

公正証書遺言の作成に関するご依頼、ご相談が増加しています。
遺言をする人を「遺言者」、遺言によって財産を受け取る人を「受遺者」といいますが、遺言者より先に受遺者が亡くなってしまうことも当然考えられますよね。
そんなとき、その遺言の効力はどうなるのでしょうか?

民法には以下のとおり定められています。

民法第994条(受遺者の死亡による遺贈の執行)
1.遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。

つまり、その遺言は無効になってしまうのです。

事例紹介

先日、遺言作成のお手伝いをしたお客様(遺言者)でこんなことがありました。
遺言者には配偶者、子はおらず、両親もすでに他界しており、相続人は3人のきょうだい(兄、妹、弟)でした。
その方は、両親の相続のときに遺産分割で兄、妹と非常に揉めて、それ以降は絶縁状態となってしまいました(弟とは良好な関係)。よって、兄と妹には自分の財産を渡したくない、弟にすべての財産を渡したいと考え、そのために公正証書遺言を作成することになりました。兄や妹(つまりきょうだい)には遺留分がないので、遺言さえあれば問題は一発解決ですよね。

無事に公証役場で遺言を作成したのですが、その帰り道にふとこうおっしゃいました。
「もしも私より先に弟(受遺者)が亡くなったらこの遺言はどうなるの?」

答えはどうでしょうか?
そうです、上記のとおり、その後何もしなければ、その遺言は無効になってしまいます。

今回の事例だと、遺言が無効のまま相続が発生(=遺言者が死亡)した場合、法定相続人である兄と妹が遺産分割協議を行い、遺言者の財産を相続することになります。遺言者の望みは叶わない結果になってしまいます。

受遺者が先に亡くなった場合への備え

受遺者が先に亡くなった場合、その遺言は無効になるため、作り直す必要があります。しかし、万が一、そのとき遺言者が認知症などになってしまっていた場合は、遺言を作り直すことはできません。
遺言は何度でも作り直すことができます。ただ、当然のことながら、遺言能力つまり意思能力があることが大前提ですので、認知症などにより意思能力が失われてしまった場合は、遺言を作成することができません。もう手遅れなのです。つまり、結果的に兄と妹が相続することになるでしょう。
もし受遺者が先に亡くなったら、またその時に考えたらいいや…と思うこともあるでしょうが、認知症になってしまってはどうすることもできません。

「予備的遺言」にしておく

そんなリスクへの備えとして、予備的遺言と呼ばれるものがあります。
「万一、受遺者が遺言者より先に(又は同時に)死亡した場合は、受遺者に相続させるとした財産は、その受遺者の妻●●に遺贈する。」
というように“予備的な”遺言をしておくのです。
そうすれば、その遺言どおりに遺産分割がなされることになります。(兄や妹は相続することはできません。)
その方は、その後すぐに改めて公正役場に行き、遺言を作り直しました(予備的遺言の条項を盛り込みました)。

このように、せっかく作った遺言が無効にならないように、あるいは、万が一無効になってしまった場合の対策についても、しっかりと準備しておく必要があります。
手遅れになってしまわぬよう、望まぬ事態を招く可能性は根っこから排除しておくことをオススメします。ぜひ専門家にご相談するようにしてください。

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貞方 大輔

立命館大学卒業後、大手生保を経て、アレース・ファミリーオフィスへ入社。
一般社団法人相続終活専門協会 代表理事

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