保険会社や都道府県民共済で医療保険にご加入の方も多いと思います。
病気やケガで入院、手術した場合、入院1日当たり〇千円、手術〇万円といった基本的の保障に、骨折〇万円、先進医療〇百万円といった各種特約が付加されています。死亡したときの保障(死亡保険金)はないことが一般的でしょう。
そんな医療保険ですが、相続税対策としても活用できます。
死亡保険金の非課税枠「500万円×法定相続人数」は、当然ご存じかと思います。
例えば、相続人が配偶者と子ども2人の計3人の場合、1,500万円までが非課税となります。
現預金を生命保険にお引越しするだけで、財産額が多ければ多いほど、相続税負担はかなり軽減されます。相続税対策の本丸ですよね。一生涯の保障がある“終身保険”で非課税枠をフルに使い切っていただきたいと思います。
ただし、終身保険の加入にあたっては、告知や診査が必要です。大きな病気を患ったことがある方は加入できないこともあります。(今でこそ無告知(無診査)や簡易告知などで加入できる保険商品も増えましたが。)
さらには、すでに非課税枠いっぱいに加入している方は、それ以上、生命保険を活用しての相続税対策ができないかというと、もう一つだけ手段があります。
契約者=親、被保険者=子(または契約者の配偶者)の医療保険
上記のとおり、医療保険には死亡保険金がありません。かつ、解約返戻金が(ほとんど)ない、いわゆる掛け捨てタイプの商品が多いのが現状です。病気やケガを一切することなく亡くなった場合、医療保険はまさに単なる保険で終わってします。
ただ、相続対策の観点からすると、解約返戻金がない(少ない)ことがメリットになりえます。というのも、医療保険の相続税評価は、“解約返戻金”相当額となるからです。
医療保険は解約返戻金がほとんどありません(あっても多くはないことがほとんど)。ということは、親が契約者として保険料を支払い、早い段階で保険料の払い込みを終えてしまえば、もし親が亡くなった場合、契約者を被保険者である子に名義変更すれば、引き続き保険料の負担なしに医療保障が継続することに加え、その医療保険の相続税上の評価額は解約返戻金、つまりほとんどありませんので、ほぼ税金負担なしで医療保険を子どもに残せたことになります。
総支払保険料=現預金の減少なので、その分相続財産が減ったわけですから、相続税の負担が減ったうえ、医療保険を子どもに残ったわけです。終身タイプの医療保険であればなお良しですね。このメリットをフル活用するために、保障はできるだけ厚く、かつ、できる限り短期に払い込みを終えてしまうことをオススメします。(もちろん被保険者である子が医療保険に加入できる健康体であることが大前提です。被保険者は、契約者の子だけでなく、配偶者でも構いません。)
保険料は全期前納(=一括して保険料を納めてしまう)でもいいですが、払込期間満了までに万が一契約者である親(あるいは配偶者)が亡くなった場合、未経過保険料は相続財産となり、相続税の課税対象となります。
終身保険に加入できない方、あるいは非課税枠いっぱいまで加入している方で、さらなる相続税対策を求める方は、このような医療保険への加入で、被相続人、相続人(配偶者や子)双方にとってメリットがある対策が可能なのです。