第25回 お葬式やお墓に対する意識も変化してます

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貞方 大輔

2021-07-20

第25回 お葬式やお墓に対する意識も変化してます

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遺言はやっぱり大切です

コロナ禍が拍車をかける形となってか、お葬式やお墓に対する意識も変化しているように思います。
連日のように、終活に関するご相談もいただいてますが、特に申し上げたいのが、メディアや業者といった周りの声に踊らされることなく、“自分しかできないこと”をしていただきたいということです。

毎週のように、週刊誌やネット記事で終活に関することがピックアップされ、断捨離を“しなければならない”といった義務感に駆られることもあるかと思いますが、よく考えていただきたいのが、なにも断捨離というものが必ずしも必要でないという方も多いでしょうし、無理して大切なものを捨てる必要はないということです。
万が一、突然の死が訪れても、家族がなんとかしてくれますし、お金さえ払えば(遺品整理や不用品回収の)業者がキレイに片付けてくれます。生前に整理するに越したことはありませんが、わざわざお金や手間をかけて、生前にするほどの意味があるのかは人それぞれです。

それよりも“自分でしかできないこと”をすべきですし、それはまさに“遺言を作成する”こと以外に見当たらないといっても過言ではないでしょう。
遺言は、いくらお金を積んでも、誰かが代わりにやってくれることはありませんし、本人にしかできないことです。しかも、法的拘束力まで担保されています。
ちなみに、先日、亡くなる1日前に“子ども達は遺留分以外、財産を相続させない”という遺言を書いてお亡くなりになった方がいらっしゃいました。期間の制限などもなく、亡くなる前日でも有効な遺言となるのです。
そんな遺言の大切さは、十分ご理解いただいているかと思いますので今回はあえて詳しくは申し上げませんが、遺言に記すとは限らない“お葬式”や“お墓”に関することもぜひ生前にしっかりご検討いただきたいと思っています。

“お葬式”というより“お別れ会”的なものに

お葬式や祭祀に対して、昔からの伝統や宗教、檀家制度といったものにとらわれなくなりました。さらには、コロナ禍もあり、お葬式に“呼べない、呼びたくない、行きたくない”といった意識も広がっています。昔ながらの大々的なお葬式は影を潜め、家族葬、一日葬といったコンパクトで簡略化されたものが主流となりつつあり、今やリモート葬なるものもインターネットなどで検索するとたくさん出てきます。
お葬式の規模の大小に関わらず、今では“お香典はいらない”、“お坊さんは呼ばない”といったお葬式も増えており、葬儀場に故人の写真を掲示し、親族や気の知れた仲間だけで思い出話に浸るといった“お別れ会”的な要素が強まりつつあるように感じています。
当然、その分費用も抑えられますし、精神的な負担も少なくてすむでしょう。生前にお葬式を挙げる、いわゆる“生前葬”も増えてきているようで、まさに自分自身の希望を反映することが当たり前のようになってきています。
“こんなことをしてほしい、これはしてほしくない”といった望みは、亡き後、遺族が必ずしも実行してくれるとは限りませんし、たとえ遺言に記していたとしても、遺言がすぐに(お葬式前に)見つかるとも限りません。ご家族も遺言の存在などよりも目先のお通夜、お葬式をどうするのかで頭がいっぱいでしょう。であるならば、生前に自分で決めておく(契約しておく)か、家族としっかり話し合っておく、あるいは死後すぐに確認、実行してもらえる形で残しておくことしかないのです。

“お墓は必要ない。お墓には入りたくない”人も

“墓じまい”、“永代供養”といった言葉もよく耳にするようになりました。
やむを得ない状況なら仕方のないことですが、兄弟姉妹間で先祖代々のお墓やお仏壇を“押し付け合う”ケースも非常に増えています。とても悲しいことではありますが、家族が高齢者ばかりとなり、昔と違って核家族化も進み、家族バラバラで集まることもなく、関係がどんどん希薄化しているといった現状を踏まえれば当然といえば当然でしょう。
無縁仏(無縁墓)になる可能性が高いといった状況や、家族に後々の負担をかけたくという思いもあってのことではありますが、家族や親族の意見を無視して、本人あるいは一部の人だけで勝手に物事を進めてしまうと余計にトラブルに発展してしまうことも大いにありえるので注意も必要です。
今は、永代供養や納骨堂どころか、“お墓を持ちたくない”、“入りたくない”といった理由から、海洋散骨(海に散骨する)や樹木散骨(木の下に散骨する)といった供養方法も増えてきています。遺骨をアクセサリーにする手元供養と呼ばれるものもあります。

以上のように、終活には、明確な正解や不正解というものはなく、そのご家庭や本人の思いによってそれぞれです。お隣さんの終活が、我が家にも当てはまるとは限らないのです。
せっかくこの世に生まれ、素晴らしい人生を歩んできたその最後くらいは“自分自身で決める”ことは、義務感ではなく、“そうしたい”と考える方が多いのではないでしょうか。
もちろん遺言は作成していただきたいですが、それもまた自由です。遺言も大切ですが、ぜひともご自身の思いが最後の最後まで叶うように、そして家族に負担をかけることがないように、少しずつでも具体的な行動を起こしていただければ幸いです。

貞方 大輔 イメージ

貞方 大輔

立命館大学卒業後、大手生保を経て、アレース・ファミリーオフィスへ入社。
一般社団法人相続終活専門協会 代表理事

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