第22回 相続法の歴史

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皆さん、こんにちは!
この連載では21回にわたり現在の相続に関する法律を判例や具体例を出しながらお話してきました。この現在の民法(相続法)の様々な規定も、初めからそのように決まっていたわけではないんです。今回は趣向を変えて、読み物として、相続に関する法律がどのような変遷をたどってきたのかをお話しします。

相続法の前身「明治民法」

まず、現在の相続法の前身となる「明治民法」と呼ばれる法律が制定されたのは明治31年のことです。明治31年は西暦1898年ですので、121年も前の話なんです。実際121年前がどのような社会だったのかは分かりませんが、120年以上も前に「民法」があったなんて、なんだか不思議な感じがしませんか?
しかし、このいわゆる「明治民法(旧民法)」下においては、相続に関する基本的な考え方が現在のものとは全く異なっていたんです。その異なる部分の一番の特長は、「家制度」を基本とした家督相続(=戸主の地位及び財産の承継)を基礎としていた、ということです。
「家制度」って、皆さんも聞いたことがあると思いますが、この明治民法は、家の統率者である「戸主」に大きな権限を与えていました。そして、家の財産についても「家のものは戸主のもの」という形を採用していたんです(もちろん戸主以外の家族についても「個人的な財産」の所有は認められていたそうですが)。また、ここで言う家督制度とは、家族を統率し支配する権利を指しますが、この家督制度は長男単独相続が原則とされていました(なお、男女では男が優先、嫡出子と非嫡出子では嫡出子が優先、年長の者が優先でした)。このように明治民法は現行の民法とは基礎となる考え方が違っていたんですね。

民法の大改正

その旧民法が大きく改正されたのは戦後の話になります。その改正のきっかけとなったのは個人の尊厳と男女の本質的平等を基礎とする日本国憲法の制定です。この憲法の精神のもと、民法の規定も大幅な改正に迫られたわけですね。昭和22年(1947年)の応急的措置の法律を経て、いよいよ現行民法が施行されたのが昭和23年(1948年)1月1日です。この現行民法は明治民法と比べて次のような部分が見直されました。

1:家制度・戸主・家督相続制度を廃止。
2:相続は被相続人の財産的地位の承継であると位置付け。
3:長男単独相続の原則から、共同相続制度へ変更。
4:憲法の精神(特に、男女平等・夫婦平等・複数の子の間の平等)が民法の規定に活かされた

戦後の民法の改正は、それまでの社会の常識といったものを法律面からも大転換させる重要なものとなっています。その後も民法は時代に合わせて細かな改正が重ねられていったのですが、そのうち相続法に大きな改正が行われたのが昭和37年と昭和55年でした。

<昭和37年改正>
代襲相続制度の見直し(民法887条2項)
相続放棄者ははじめから相続人ではないこととした(民法939条) など

<昭和55年改正>
兄弟姉妹を被代襲者とする代襲相続人を甥姪に限定(それまでは制限がなかった)(民法8892項)
配偶者の相続分の引き上げ(民法900条)
寄与分制度の新設(民法904条の2


遺留分の割合の変更(民法1028条)など


相続法も変化を遂げていく

その後も平成11年には、それまで「口述」や「読み聞かせ」が要件とされていた公正証書遺言の方式において、聴覚・言語機能障がい者が手話通訳等の通訳又は筆談により公正証書遺言をすることができる改正が行われ、平成20年には中小企業の事業承継の場面において発生する問題を解決するため、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律が制定、平成25年には嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1とする部分が違憲であると判断され、相続分は同一とする改正がなされました。時代も変わり、令和元年となった今年も自筆証書遺言に関する見直しや配偶者居住権の新設といった改正がありますね。
このように、この121年の間にその時代に合わせて数々の改正が行われています。現行民法もやがては「古い!」と言われるのでしょうか?121年後はどのような社会常識が生まれ、どのような民法になっているのでしょうか?私たちも移り変わる時代に合わせてしっかりと勉強をして知識を更新していかないといけませんね。

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