第8回 “所有者不明土地”問題の対策へ

佐久間 寛

2019-12-17

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“所有者不明土地”問題の現状と対策

所有者が分からないまま放置されている“所有者不明土地”が増え続けている問題を解決するため、政府・与党と法制審議会がそれぞれ対策に乗り出しています。
 
全国的に増加している所有者不明土地。
土地の相続の際に、登記などの手続きが行われずに、所有者が分からなくなるケースが増えていて、所有者を探すのに膨大な手間がかかり、各地で問題になっています。
推計によると、2016年時点の所有者不明土地は全国に410万ヘクタールあるとされています。ちなみに九州本島の面積は約370万ヘクタールですから、問題の深刻さがお分かりいただけると思います。
 
政府・与党はこうした土地を減らし、固定資産税を適正に課税するため、相続した人に対して登記とは別に自治体への届け出を義務付ける制度を新たに設ける方向で検討に入っています。この制度は、各自治体が個別に判断し、条例で導入することが検討されています。
 
また、調査を尽くしても所有者が見つからない場合には、土地を使用している人を所有者とみなして課税できるようにするなど、来年度の税制改正に向けて調整が本格化する見通しとなっています。
 
一方、法制審議会の部会は、所有者不明土地をめぐる問題を解決するため、今月、中間試案をまとめることにしています。この中では、土地を相続する際の登記を義務化し、一定の期間内に登記を申請しなければ過料(※)に処すことや、相続の開始から遺産分割の手続きがなく10年が経過すれば、法定相続分に応じて分割できるようにすることなどが検討されています。
(※)過料とは、各自治体の条例などに違反した場合に課せられる罰則金です。
 
また、権利(所有権)の帰属に争いがなく、管理が容易であることなどの要件を満たす場合は、個人に限って土地の所有権を放棄できるようにすることなども盛り込む方針です。
現行の民法では、土地の所有権の放棄は認められていません。所有権は、土地の適正な管理や税金の支払いなど所有者の義務もセットであり、放棄を認めてしまえば税金逃れや管理費用を国や自治体に転嫁しようとする問題を引き起こしかねないからです。
このように、民法や不動産登記法の見直しにまで議論が及ぶことになりそうですね。

“空き地”問題の対策も

一方、所有者は分かっているものの使われていない空き地についても、土地の有効活用が課題になっています。
政府は、このうち低価格の土地を対象に、税の負担を軽くする措置を来年度の税制改正大綱に盛り込みたいと考えています。
土地を売却する際には、建物の解体費用や仲介手数料などがかさむことから、地方を中心に空き地が売却されずにそのまま放置されるケースが増えています。
このため、売却額が500万円以下の低価格の土地を対象に、土地の売却益から最大100万円を控除し、課税対象になる金額を減らすことで、税の負担を軽減することなどを検討しています。
 
“相続”と“不動産(土地・建物)”は非常に密接な関係にあり、いろんな問題が表面化してきます。
遺産分割における“争う族”問題はもちろん、今回お話したような相続後の維持・管理の問題もあります。
多い少ないに関わらず、不動産をお持ちの方であれば関わってくる話題ですので、今後の動向に注視していきたいものですね。

佐久間 寛

東京司法書士会会員 登録第4599号
簡裁訴訟代理業務認定会員
出身  :長野県出身 中央大学法学部卒業
保有資格:司法書士、宅地建物取引主任者 

アーレスリアルエステート

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