第26回 改正相続法③

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皆さん、こんにちは!
今回も引き続き2018年に大きな改正が行われた民法(相続法)の話をさせていただきます。3回目となる今回は「⑤ 婚姻期間が20年以上の夫婦間における居住用不動産の贈与等に関する優遇措置(201971日施行)」についてお話しますね。
<ご参考>
・第24回「改正相続法①」(2019.7.23
・第25回「改正相続法②」(2019.7.26

婚姻期間が20年以上の夫婦間における居住用不動産の贈与等に関する優遇措置

今回の改正は「被相続人の配偶者や遺族の生活への配慮」などを念頭に行われた、と以前お話しました。この優遇措置は配偶者に配慮されたものです。
少々難しい話になってしまうのですが、従前は居住用不動産についても生前贈与等を行ったとしても、原則として遺産の先渡しを受けたものとして取り扱うため、相続開始時に相続財産としてみなされ(持戻しといいます)、配偶者が最終的に取得する財産額は、結果的に贈与等がなかった場合と同じになってしまっていました。
具体的に言うと以下のようなことです。

【従前制度の事例】
相続人:配偶者(婚姻期間20年以上)と子2人
遺産:居住用不動産(持分2分の1)評価額2,000万円    
   その他の財産 6,000万円
配偶者に対する生前贈与:居住用不動産(持分2分の1)2,000万円

<計算>
配偶者の取り分を計算する時には、生前贈与分についても相続財産とみなされて持ち戻されて計算されるため、
(遺産8,000万円+持戻し2,000万円)×1/2-2,000万円(※)=3,000万円(=相続時の取得額)
(※)生前贈与分2,000万円を差し引く。
生前贈与分と合わせると、最終的な取得額は
3,000万円(相続時)+2,000万円(生前贈与分)=5,000万円
となり、結局生前贈与があった場合とそうでなかった場合とで、最終的な取得額に差異がないこととなります。
◆生前贈与がなかった場合の計算◆ (居住用不動産4,000万円+その他の財産6,000万円)×1/2=5,000万円(=相続時の取得額)
(注)上記2つの計算に出てくる「1/2」は配偶者の法定相続分。 

もちろん、相続人との関係(争族問題勃発の可能性)によっては、あらかじめ自宅の持分を配偶者に贈与しておくこと自体は終活として考えておきたい部分ですので、やっても意味がない、ということではありませんが、最終的な財産の取得額だけをみると、被相続人が生前に贈与を行った趣旨(配偶者に優先的に財産を残したい!)が遺産分割の結果に反映されていませんよね。
そこで、今回の改正ではこの部分の見直しが行われたのです。
早速、その改正による計算の流れを見てみましょう。

【改正後の事例】
相続人:配偶者(婚姻期間20年以上)と子2人
遺産:居住用不動産(持分2分の1)評価額2,000万円    
   その他の財産 6,000万円
配偶者に対する(生前)贈与:居住用不動産(持分2分の1)2,000万円

<計算> 配偶者の取り分を計算する時に、生前贈与分については相続財産とみなさないため持ち戻されずに計算されるため、
遺産8,000万円×1/2=4,000万円(=相続時の取得額)
生前贈与分と合わせると、最終的な取得額は
4,000万円(相続時)+2,000万円(生前贈与分)=6,000万円
となり、生前贈与がなかったとした場合に行う遺産分割より多くの財産を最終的に取得できることとなる。



ご理解いただけましたでしょうか?
このように、新たに設けられた優遇措置では、婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産の遺贈又は贈与がされたときは、持ち戻しの免除の意思表示(民法第903条第3項)があったものと推定して、被相続人の意思(配偶者の取り分を多くする)を尊重した遺産分割が出来るようにする、という趣旨が反映されていますよね。法律も民意に寄り添い始めているのでしょうか。
 
さて話は変わりますが、この優遇措置は「婚姻期間が20年以上」の夫婦が対象でしたが、これまでも「婚姻期間が20年以上」というキーワードが出てきたことがあったのですが、覚えていらっしゃいますか?
「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」ですね。
婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除できるという特例、でしたね。
近年の日本の離婚率は35%といわれており、そのうち婚姻期間1年未満~20年以内における割合が75%という統計が出ています。それぞれの家庭に、それぞれの事情がありながら、20年間という婚姻期間はいろいろな意味で、とても貴重なものになるんですね。
婚姻期間20年目の結婚記念日は「磁器婚式」です。耐久性に優れ、日を重ねるたびに風合いが変わっていき、より生活に馴染んでいく磁器の特徴から、20年という年月を表わしているんだそうです。このように20年という長い期間に渡って婚姻関係を構築してきた夫婦には国からも法律上や税金の優遇という形でプレゼントが用意されているようですね。


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