第24回 リースバック

江幡 吉昭

2019-08-09

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つい先日、2018年の日本人の平均寿命が過去最高を更新したというニュースが流れていました。
さらに延びる可能性があるということで、まさに人生100年時代へ向けてまっしぐらといった印象を受けました。
そんなニュースと一緒に、50代以上、中でも特にシニア層の関心を集めているという「リースバック」についての特集をやっていました。最近よく耳にするようになりましたので、ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、リースバックとは、住んでいる自宅を活用して現金を得る手段の一つです。
今回は、リースバックについて見てみましょう。

リースバックとは

リースバックとは、住んでいる自宅を買主(主に不動産会社)へ売却し、買主と賃貸借契約を結んで、売却後もそのまま住み続けるという仕組みです。
リースバックを利用するのは、マイホームに住み続けたいけど、まとまった現金が必要になった場合などです。住宅ローンの支払いが難しくなったものの、家には住み続けたいのでリースバックを利用したいという相談も増えているそうです。また、相続対策としてリースバックが活用されるケースもあります。
 
住宅を活用して資金を調達する方法として、他にも「リバースモーゲージ」と呼ばれるものがあります。こちらは住宅を担保に金融機関から融資を受ける方法で、リースバックよりも資金の使い道に多くの制限が設けられていることが多いです。主に老後資金の確保のために活用されます。
 
リースバックが関心を集めている理由として
■高齢者は新たに賃貸借契約を結びづらい(賃貸マンションやアパートに入居しづらい)。
■相続対策として、自宅を現金化しておきたい(納税資金対策や“争う族”対策)。
■死後、誰も住まないことが確実な場合、生前に売却して整理しておきたい(空き家問題対策)。
といった背景やニーズなどが挙げられます。
 
今、広まっているこのリースバックは、不動産会社が自宅を購入して、大家となってあらかじめ決めた期間で元の所有者に賃貸(リース)するという内容です。後から元の所有者が買い戻すことも可能にしていて、契約の際にも再購入時の買い取り額をあらかじめ明示していることもあります。

リースバックのメリット・デメリットは?

一般的なリースバックのメリットとデメリットについて見てみましょう。
 
<メリット>
■売却後も慣れ親しんだ自宅にそのまま住み続けることができる。
これが最大のメリットと言ってよいでしょう。自宅を売却するにも関わらず引っ越しをする必要がありません。思い出の詰まった自宅に住み続けることができるのです。また、売却したことを親戚や近所の人に知られずに済みます。
 
■売却によって、まとまった現金を手にできる。
売却代金の使途に制限はありません。老後資金や事業資金などに自由に使うことができます。
住宅ローンの残債を返済してしまいたい、子どもの学費をまとめて調達したい、事業の資金や設備投資の資金を調達したいといった幅広いニーズに活用することができます。
 
■固定資産税がかからない。
売却後は借主になるため、固定資産税の支払いが必要なくなります。
 
■将来的に買い戻しができることもある。
売却した自宅を将来的に買い戻しできることもあります。リースバックの契約内容次第ですので、その点はきちんと理解しておく必要があります。一定期間後に確実にまとまった現金が入るが、今は必要な現金が手元にない人(まとまった現金が入った段階で買い戻す)には選択肢の一つになりますね。
 
<デメリット>
■所有ではなく賃貸となるので、毎月の賃料を払うなど契約ルールを守る必要がある。
月々の家賃が相場よりも高くなることもあります。リースバックの年間家賃の相場としては、買取価格(売却価格)の7%~13%程度が大半です。家賃を払うことができなくなれば、当然退去しなければなりません。
 
■一生涯住み続けたり、必ず買い戻せることが保証されているわけではない。
リースバックによる賃貸契約は「定期借家契約」として賃貸期間に制限があることも多いです。賃貸借契約が更新できないとなると退去する必要が出てきます。
 
■売却価格が相場よりも低くなるのがほとんど。相場の7~8割程度が一般的。
 
■買い戻し価格も相場より高くなるのがほとんど。
 
■自宅を相続するつもりでいた子どもにきちんと話をしていないと、大きなトラブルに発展することも。
 
リースバックを利用するにあたっては、当然のことながら契約で合意した期間中ずっと賃料を払い続けられること、住宅ローンが残っている場合は金融機関の抵当権が外せるように売却代金がローン残高を上回っていることなど、一定の条件があります。
また、当然ながら、新しい所有者(主に不動産会社)に利益が生じないと、この仕組みは成立しません。投資額(購入額)に対して、それを超える賃料が入ったり、賃貸借契約後に転売して利益を出すことが求められます。そのため、リースバックは、上記デメリットにもあるとおり「普通に売却するよりは売却額は低い」とか、「普通に借りるよりは賃料が高い」とか、「買い戻しをする際の金額は売却額より高い」といったことがあるのです。
したがって、「誰もが簡単に住み続けながら現金を手にできる」方法とは思わないことです。

リバースモーゲージとはどう違う

リバースモーゲージとは、自宅を担保に金融機関等からお金を借りることで現金を手にする仕組みです。
したがって、「所有権を持ち続ける」、「借りたお金を返済する」という点がリースバックとは根本的に異なります。
担保となる自宅に応じて、金融機関等は「融資上限額」を設定します。その融資上限額を上限として、定期的に、もしくは随時、金融機関等から融資を受けることができます。一般的には、所有者が亡くなった後に、土地建物を売却して一括返済に充てる形となっています。不動産の売却を前提とした資金調達といえます。
ちなみに、融資上限額は、土地・建物の評価額を基準に、その50%~70%程度で設定されることが多いです。
居住している自宅を対象とするため、通常、建物については評価額が残っておらず、そもそも評価の対象にならないことが多いです。土地のみが評価の対象となると考えておいた方がよいでしょう。
不動産の売却を前提とした融資のため、資金の用途は限定されており、生活資金や医療費などが主で、事業資金や金融商品(投資)への使途は認められていない場合がほとんどです。
また、リースバックは売却時点で評価されますが、リバースモーゲージは将来に不動産を売却する形になりますので、不動産担保価値の変動を織り込んだ金額で「借入枠」を設定します。よって、借入枠は若干保守的な金額になる傾向があります。なお、あまりに評価額が低い不動産は、残念ながらリバースモーゲージの対象にならないことが多いです。
また、リバースモーゲージは、死亡などによって契約が終了したときに相続人が売却するなどで、ローンを一括返済する仕組みなので、60歳以上などシニア層に限定して自宅を現金化するために利用されることが多いです。
 
両者の最も大きな違いは、リースバックは「売却+賃借」であり、リバースモーゲージは「融資」である点です。リースバックは自宅等を売却し、所有権が買い受けた不動産会社等に移るので融資とは異なります。
一方で、リバースモーゲージは、所有権が移らない代わりに、自宅を担保として提供し、融資を受ける形になります。「自宅は所有しているけれど、現金収入が少ない高齢世帯」を主な対象としています。リバースモーゲージはハッキリ言えば、“住宅を担保にしたいわば借金”です。自宅を売却して返済に充てますから、子どもが相続することができなくなります。「自宅を相続できる」と子どもが考えていることもあるでしょう。事前に話し合っておかないとトラブルの原因になります。

リースバックを利用するにあたって大切なこと

覚えておいてほしいことは、住み続けられると言ってもリースバックは「定期借家」による賃貸借契約がほとんどなので、定めた期間が来たら賃貸借契約は終了するのが原則ということです。
契約終了時に定期借家を再契約することは可能なので、希望する期間だけ再契約を繰り返すことで住み続けられる場合もありますが、契約の内容もそれぞれで異なるため、利用する際には契約条件などを細かく把握しておく必要があります。
自宅を活用して現金化する必要がある場合には、その方法を幅広く検討しなければなりませんが、選択肢の一つとしてこうしたサービスがあることも覚えておくとよいと思います。
不動産を所有していて、仮に生活が不安なら、不動産を適正な市場価格で売却して賃貸物件に住むなり、住宅の住み替えを検討するなりした方が手元に現金が残る場合もあります。(贅沢をするための費用ならば、通常の不動産担保ローンでもよいですし、リバースモーゲージのように当事者の死亡を前提にする必要はないのでは?とも思います。)
何のためにリースバック(あるいはリバースモーゲージ)を利用するのかをきちんと整理してから結論を出すことが必要です。安易な利用は絶対にオススメできません。ケースバイケースですので、必ず専門家に相談して慎重に判断することが大切ですね。
 

江幡 吉昭

法政大学卒業後、住友生命保険、英スタンダードチャータード銀行を経て、2009年株式会社アレース・ファミリーオフィス設立。アレース・ホールディングス代表。一般社団法人相続終活専門士協会代表理事。
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