第24回 改正相続法①

吉田 隆一

2019-07-23

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皆さん、こんにちは!
以前のメルマガお役立ち情報で、様々な改正を繰り返してきたという民法(相続法)の歴史についてお伝えしましたが、つい昨年の実は2018年にも約40年ぶりの大きな改正がありました。その一部が今年に入ってから段階的に施行されています。今回はその改正相続法についてのお話です。

相続に関する改正について

まず40年ぶりって言ってたけど、相続に関する大きな改正は最近あったような・・・?」と思われた方もいらっしゃると思います。たしかに、近年で一番目立つ相続に関する改正と言えば「相続税の基礎控除が縮小」ですね。「5,000万円+(1,000万円×法定相続人数)」だった相続税の基礎控除が「3,000万円+(600万円×法定相続人数)」になりました。この改正の影響で相続税の課税対象者が倍増したと言われているんです(だからこそ、早めの相続対策が必要になってきている、というわけですね)。でも、実はこれは「相続税」、つまり「税金(税法)」の改正なんです。今回は「民法(相続法)」の改正なのでそれとは別物、ということになるんです。…と言葉では説明はしたものの、同じ相続のことなのに税法やら民法やら、なんだかややこしい話ですね。もっと法律は分かりやすくなってくれないものでしょうか。

改正相続法の主な内容

それはさておき、本題に入りますね。今回の相続法の主な改正点は以下のとおりです。
自筆証書遺言の方式緩和(2019113日施行)
預貯金の払戻し制度の創設(201971日施行)
遺留分制度の見直し(201971日施行)
特別の寄与の制度の創設201971日施行)
婚姻期間が20年以上の夫婦間における居住用不動産の贈与等に関する優遇措置(201971日施行)
配偶者居住権の新設(202041日施行(予定))
法務局における自筆証書遺言の保管制度の創設(2020710日施行(予定))
 
一見なんだか難しい言葉が並んでますよね。
でも、よく見てみると今まで相続について勉強をされてきた皆さんにとっては馴染みの言葉が並んでいます。それぞれの制度を思い出していただいて、それぞれの使い勝手が良くなった、という解釈でもいいと思います。

相続法改正の目的

ところで、法務省によると、今回の法律の改正は「被相続人の配偶者や遺族の生活への配慮」「遺言の利用を促進、相続をめぐる紛争の防止」を念頭に行われただそうです。たしかに改正の内容を読んで見てみると、配偶者や遺族にとってメリットのある改正になっているようです
今回全部お話しすると長くなるので、今回は「① 自筆証書遺言の方式緩和(2019113日施行)」と「② 預貯金の払戻し制度の創設(201971日施行)」についてお話しします。

① 自筆証書遺言の方式緩和(2019年1月13日施行)

皆さんが相続の勉強をされたときは、自筆証書遺言の成立要件は「遺言書の全文を自書する」ということでしたよね。この場合、財産目録も全文自署しなければならなかったため、大きな負担となっていました。
しかし、今回の改正により、自筆証書遺言についておける財産目録についてはパソコンで作成することも可能となりました(ただし、財産目録の全ページに署名押印が必要)。
たしかに、負担は減ったと思いますが、今度はパソコン等の操作を覚える必要が出てきますよね。印刷するのにプリンターも用意しないといけませんし・・・。ある意味では負担が増えたのかもしれません。もっとも、それをきっかけに家族と相続の話をする機会増えるかもしれません。そうなれば争族も少しは減っていくかもしれませんね。

② 預貯金の払戻し制度の創設(2019年7月1日施行)

今月20197月)スタートしたばかりの出来立てほやほやの制度です。
皆さんご存知の通り、これまでは、被相続人の金融機関の口座等はその金融機関がその口座名義人の死去を知った時点で凍結され、遺産分割が終了するまでの間は、相続人単独では預貯金の払い戻しが出来ませんでしたよね。その結果、生活費や葬儀代などの捻出に困ることも多くあったと思われます。
これがこの点について、遺族の生活への配慮するという観点から改正されたんです。
 
改正相続法では、公平性を図りつつ相続人の資金需要に対応できるよう、次の2つの制度を設けました
A:預貯金の一定割合(金額の上限あり)については、家庭裁判所の判断を経なくても金融機関の窓口における支払いを受けられるようになった。
B:仮払いの必要性があると認められる場合には、他の共同相続人の利益を害しない限り、家庭裁判所の判断で仮払いが認められるようになった。
 
Aの制度の創設により、預貯金が遺産分割の対象となる場合は、各相続人は金融機関の口座毎に自身の法定相続分の3分の1までの預貯金(各口座毎に上限150万円)について、遺産分割協議が整う前でも単独で引き出せるようになったんです。
 
例えば以下のような感じです。

被相続人Aには1,200万円の預金があった。Aには妻Bと子X・子Yがいる。Aが死亡したため、妻Bと子X・子Yは、それぞれ妻Bは150万円(上限による)、子X・子Yはそれぞれ100万円をひきだすことが可能となった。  
妻B:1,200万円×1/2 × 1/3 = 200万円(上限を超えるため150万円まで可能)  
子X:1,200万円×1/4 × 1/3 = 100万円  
子Y:1,200万円×1/4 × 1/3 = 100万円

                                    


この払い戻しの制度が創設されたことで、残された家族も当面の資金には困らずに安心して生活が続けられるようになりそうですよね。生活費の問題は遺族の生活に直結する話ですので、とても良い改正になっていると思います。
 
皆さんが勉強をされたときの以上のように、これまでの相続制度内容と少しずつ違いが出てきています。これからもいろいろな改正が行われていくことと思います。今回の相続法改正についての話をきっかけに、お客様やご家族と相続についてお話するのもいいかもしれませんね。
次回も引き続き、改正相続法のお話をします。


吉田 隆一

エフピーマトリックス代表取締役

アーレスリアルエステート

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