第23回 相続の開始・人の死亡・同時死亡の推定

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 皆さん、こんにちは!
前回は読み物として、相続に関する法律がどのような変遷をたどってきたのかをお話ししました。明治民法以来、大小さまざまな改正を繰り返してきていたんですね。
さて、今回は少々重々しく、ですが相続の大前提となる話をしたいと思います。それは、人の「死亡」についてです。
 

人の「死亡」に関するケーススタディー

人は生来数えきれないほどの物語を積み上げていきますが、やがて終わりを迎えます。その物語を受け継ぐべき相続が開始されるのは、被相続人が死亡したときですね。ではこの「死亡」とされるのはいったいいつなのか、お考えになった事はありますか?
例えば、一般的に死亡の状況として、病院や自宅等で亡くなり、医師により死亡診断書が発行されれば万人違わずに死亡と判断することができますよね。
では、以下の場合はどうなるのでしょうか?
それぞれのケースについて簡単にお話しますね。 
1:脳死と判定されたときは?
2:災害等で死体が見つからないときは?
3:失踪したまま戻らないときは?  

脳死と判定されたとき

 「脳死」と判断されたときは人の死とするのでしょうか?
脳死の問題は臓器移植法が絡んで様々な議論がなされていますね。この点については、相続税法上もまだ明確な定めはありません。
学説上は、脳死と医師によって判定され、かつ臓器移植のために臓器を摘出される場合に限り、脳死と判定された時点をもって私法上の権利関係についても人の死とする(=相続が発生する)、とされているようです。

災害等で死体が見つからないとき「認定死亡」

 「水難などの災害によって死体の確認に至らなくても死亡したことが確実視される」場合はどうでしょうか?
この場合は、その取り調べをした官公庁が死亡地の市町村長に死亡を報告し、それに基づいて戸籍に死亡を記載する制度があります(戸籍法89条)。これを「認定死亡」といいます。認定死亡がなされれば、相続も開始されることになります。
しかし、これは行政手続き上の便宜的な取り扱いなので、当人が生存していることが証明されれば死亡の判定は効力を失います。 

失踪したまま戻らないとき「失踪宣告」

「失踪したまま生死不明となった場合」はどうでしょうか?
ずっと生死不明のままでは、相続においても大きな問題が発生することは言うまでもありませんよね。
この場合、一定の手続きを経たうえで死亡したものとみなす制度があります。これが「失踪宣告」制度です。
民法では不在者が“一定期間”生死不明となっている場合に、その者を死亡したものとして扱うため、利害関係人の申立てを受けて家庭裁判所が「失踪宣告」をする制度を設けているんです(民法30条)。
失踪宣告があると、その不在者は死亡したものとみなされます(民法31条)。よって、相続も開始されることになります。
ちなみに、この“一定期間”については民法第30条を読んで確認してみて下さい。


<民法第30条> 1.不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。2.戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止んだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後1年間明らかでないときも、前項と同様とする。

「同時死亡の推定」

さて、「死亡」についてもう一つ重要な論点があります。それが「同時死亡の推定」です。
例えば、次のような事例があった場合、皆さんはどうお考えになりますか?

資産家Aには妻Bと子X(幼児)がいる。Aの運転していた車(子Xが同乗)が、崖から転落しているところを通行人により発見され、Aと子Xの両名とも死亡が確認された。なお、Aの母Mは健在である。

この場合、今まで学習した相続の考え方でいくと、Aと幼児Xのどちらが先に亡くなったか(どちらが以前死亡か)によって、相続割合が変わってきますよね。
もしAが先に亡くなっていた場合、相続人は妻Bと子Xになり、それぞれ2分の1ずつを相続することになります。次に子Xも亡くなったので、相続人は妻Bのみで、結果としてAの財産はすべて妻Bが相続することになります。
しかし、もし子Xが先に亡くなっていた場合は、子Xの相続人はAと妻Bとなります。次いでAが亡くなったので、相続人は妻Bと母Mですので、結果としてはAの財産は妻B3分の2、母M3分の1を相続することになります。

このように、数人が死亡した事例において、誰が先に死亡したか分からないときに、どちらが先に死亡したのかが重要となることがあります。それを判断できる証拠が残っていなければ、相続そのものが暗礁に乗り上げてしまいますよね。
そこで、民法は「同時死亡の推定」を設けて、この数人は同時に死亡したものと推定する、としました(民法32条の2)。
したがって、上記のケースの場合は、同時死亡と推定して、Aの相続人は妻Bと母Mということになります。

これらのように、どのように「死亡」と判定するかは、相続にとっては非常に重要なことになります。これまで何度も繰り返しお話していますが、本当に人の死はいつどんな形で訪れるのかまったく分かりません。もちろん、死については考えたくはないことだとは思いますが、残された家族の事を考え、予め準備をしていくことは大切ですよね。こういったお話でも終活の大事さがご理解いただけると思います。

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