第13回 特定の美術品に係る相続税の納税猶予制度の創設

田中 誠

2018-10-01

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 平成30年度税制改正で、文化財保護法改正を前提に、「特定の美術品に係る相続税の納税猶予制度」が創設されました。
 背景としては、高齢化社会が進展する中、相続を機に美術品の適切な保存と公開活用が途絶え、次世代へ確実に継承されないことが懸念されていました。
 また、我が国で所有されている美術品等の良質な文化財を戦略的に活用し、美術館での公開を促進することを通じて、文化と観光、産業が一体となった新たな市場創出や地域活性化等を図っていくことも求められてきました。
 この制度により、個人が所有する美術品について美術館へ寄託することを促しています。
 今まで、農地や非上場株式などについて適用されてきた相続税の納税猶予制度が美術品についても適用されることになったというわけです。

改正の概要

 一定の美術館に対し、一定の要件を満たす特定美術品の寄託をしていた人が死亡したときに、相続人が寄託を継続したときは、担保提供を条件に、その相続人が納付すべき相続税額のうち、その美術品に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税を猶予する、というものです。

特定美術品の要件

 重要文化財に指定された美術工芸品、または登録有形文化財(建造物は除く)であって世界文化の見地から歴史上、芸術上、学術上特に優れた価値があるものです。

美術館の要件

 博物館法に規定する博物館または博物館に相当する施設として指定された施設のうち、美術品の公開・保管を行うものです。

その他の要件

納税猶予の適用を受けるには、所有者(将来の被相続人)が美術館と美術品の長期寄託契約を締結し、文化財保護法に規定する保存活用計画について文化庁長官の認定を受けることが求められます。
 また、美術品を相続した人(寄託相続人)は、その長期寄託契約と保存活用計画に基づいて寄託を継続しなければなりません。
 さらに、担保の提供も必要です。
 かつ、3年ごとに継続届出書と寄託先の美術館が発行する証明書を税務署に提出しなければなりません。

猶予された税額の免除と終了

猶予税額の免除
 寄託相続人が死亡した場合
 寄託先美術館に寄贈した場合
 自然災害により特定美術品が滅失した場合
 
猶予税額免除の終了(この場合は猶予された税額を納めなければなりません)
 特定美術品を譲渡等した場合
 特定美術品が減失、または紛失等した場合(自然災害による滅失は除く)
 長期寄託契約が終了した場合、または保存活用計画の期間満了後新たな認定を受けなかった場合
 重要文化財の指定の解除もしくは登録有形文化財の登録の抹消があった場合、または保存活用計画の認定が取り消された場合
 寄託先美術館が廃止された場合(新たな寄託先美術館に寄託した場合を除く)

田中 誠

長野県生まれ
横浜国立大学経営学部卒業

相続終活専門士

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