第9回 金融資産の把握

田中 誠

2018-08-20

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今回は、税務署による我々の資産の把握の仕方についてみていきましょう。

マイナンバー制度

 まず、マイナンバー制度とは、行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平・公正な社会を実現するための社会基盤として、20161月より導入されました。
 証券会社では新規口座開設には現在は必須となっています。銀行では20181月より新規口座開設には任意で要請されるようになっています。保険会社では『保険金等が一時金の場合、100万円を超えるとき』、『年金等の場合、年間20万円を超えるとき』、必要となっています。原則的には2018年末までにマイナンバーを提出しないと新規取引は不可となる予定です。
 金融機関のマイナンバー収集が完了すれば、税務署は金融機関に照会文書を出したり、実際に出向いて調査することなく、金融機関の資金の動きを把握することができるようになってしまいます。

財産債務調書

以前は、「財産及び債務の明細書」として、所得の合計額が2,000万円超の方が対象となっていました。これが「財産債務調書」に変更されました。内容は、対象となる方が、所得の合計額が2,000万円超かつ財産3億円以上、または一定の株式や投資信託を1億円以上保有している方、と狭められ本当の資産家が対象となりました。まるで、プレ相続税申告と言えるものになってしまいました。また、書式については個別具体的な記載が求められ労力が必要になっています。非上場企業の自社株式、医療法人の出資持分等、算定が複雑なものは専門家への依頼が必要となるでしょう。
 過少申告加算税の加減算の特例として、期限内に申告しなかった場合、または申告したものの記載漏れがあった場合、過少に申告した場合、過少申告加算税が5%加重されます。一方で、期限内に申告した場合には、5%軽減されます。

国外財産調書

 相続において海外の資産はバレないだろうと考える方が未だに多いようですが、租税条約が締結されている国同士の情報交換は近年非常に盛んです。特にCRS(共通報告基準)により国際的に標準化された情報交換制度が確立され日本も2018年より適用対象国となっています。
 日本では、その年の12月末現在で5,000万円超の国外財産がある方は、国外財産の種類、数量、および価格を記載した「国外財産調書」を提出しなければなりません。
 対象者は、非永住者を除く居住者で、1年以上居所を国内に有する方です。提出義務は、確定申告を行うか否かとは関係ありません。提出期限は、その年の翌年の315日まで、税務署あてとなります。
 対象財産はすべての財産が対象となるため、現預金、有価証券、不動産、骨董品や貴金属も含みます。また、財産のため、例えば国外に財産もあるが負債もある、というような場合は、相殺できず、財産のみの提出となります。
 罰則事項として、虚偽記載や不提出に関しては、1年以下の懲役、または50万円以下の罰金が科せられます。また、国税職員による税務調査の対象となります。誤りがあった場合の修正申告に関しては、その誤りに関する納税に対して10%または15%の過少申告加算税、もしくは15%または20%の無申告加算税の対象となります。
 シンガポールにある銀行から日本人の口座保有者宛てに「日本のマイナンバーを提出するレター」が届いたことにより、現在もシンガポールから他の国へ海外預金を移管する動きは継続しています。
 
以上、税務署の資産の把握方法をいくつかみてまいりました。国内金融取引は税務署に筒抜け、国内で財産を築けば財産債務調書、海外に築けば国外財産調書、残るはタンス預金となりますが、次は新円切り替えでも準備しているのでしょうか。 

田中 誠

長野県生まれ
横浜国立大学経営学部卒業

相続終活専門士

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